ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 “Fantastic Beasts: The Crimes of Grindelwald”

監督:デヴィッド・イェーツ

出演:エディ・レッドメイン、キャサリン・ウォーターストン、ダン・フォグラー、
   アリソン・スドル、エズラ・ミラー、ゾーイ・クラヴィッツ、
   カラム・ターナー、クローディア・キム、ウィリアム・ナディラム、
   ケヴィン・ガスリー、ジュード・ロウ、ジョニー・デップ

評価:★★




 「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」(16年)は「ハリー・ポッター」シリーズのスピンオフであり、当然のことながら、その世界観は「ハリー・ポッター」のそれと地続きにあった。そして同時に人間関係や物語構造もまた、「ハリー・ポッター」が大いに意識されていたと言って良い。シリーズのファンにウインクする小ネタも散りばめられていた。その続編『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』はしかし、「意識」云々という言葉はしっくり来ない。もはや「囚われている」と言って良いのではないか。

 脚本を手掛けるのは、「ハリー・ポッター」の世界観を誰よりも知る人物、原作者のJ・K・ローリング。なるほど彼女の頭の中に広がる世界観、これが正解だと言われればそれまでなのだけど、それが映画的かというとまた別の話で、むしろ窮屈に感じられる部分が多い。ニュート・スキャマンダーを主人公に、今回は悪の魔法使いゲラート・グリンデルバルドが悪役として登場する。

 ただし、グリンデルバルドは物語を回転させるエネルギーとして機能しない。脚本が重視するのは囚われの身だったグリンデルバルドの脱走と彼が仲間を集める様で、これは起承転結で言えば「起承」の部分に過ぎない。スキャマンダーは何をするかというと、それを目撃することに専念する。ローリングはそれを描きながら、自身の考える世界観の掘り下げに入る。いや、掘り下げと書くと聞こえが良過ぎる。ガイドブック的ネタを次々落とす。自己満足的に。

 この世界観独特の用語が次々飛び出す。魔法生物もたっぷり登場。若き日のアルバス・ダンブルドアが大々的に顔を見せ、「ハリー・ポッター」に繋がる名前も聞こえてくる。おそらくファンはそれだけで小躍りする。しかし、それは世界観のトリヴィアを刺激するだけで、物語からサスペンスが引き出されるわけではない。「魔法界の分断」が今の世界を思わせるのは悪くないのに、あぁ…。

 相変わらず、スキャマンダーを始めとする魔法使いは、杖を振るばかりで肉体的快感からは程遠い存在だ。杖の先から放たれる魔法は視覚効果と仲が良く、それを相手に演技をする役者たちは驚き顔以外を見せない。編集はそれをごまかすように小刻みで、画面そのものが持つ熱やスピードをあっさり消し去ってしまう。せめてクライマックスぐらい肉体と密着したアクションをじっくり見せられなかったか。

 さて今回、グリンデルバルドの他に、クリーデンス・ベアボーンなる若い魔法使いも大々的に取り上げられる。彼の正体にまつわる謎の描き方が作品を象徴する。ウィリアム・シェイクスピア的な悲劇と絡みながら語られるそれが丸っきりメロドラマで、けれどそれが全く決着を見せないあたり、ローリングが物語を重視して脚本を書いていない証拠だ。目指されるのはあくまで世界観の描き込み。結果この映画は、グリンデルバルドが魔法界に宣戦布告をするだけで終わりを告げる。





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