ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ “Sicario: Day of the Soldado”

監督:ステファノ・ソッリマ

出演:ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、イザベラ・モナー、
   ジェフリー・ドノヴァン、マヌエル・ガルシア=ルルフォ、
   マシュー・モディン、イライジャ・ロドリゲス、
   デヴィッド・カスタニェーダ、キャサリン・キーナー

評価:★★★




 いきなりメキシコとカンザスシティで自爆テロが起こる。その後も世界各地を転々と飛ぶ。何がどう繋がっているのか。次第に明らかになる全体像のようなもの(全体像を完璧に掴むことは不可能に近い)が絶望的だ。なるほどこれは、アメリカとメキシコの国境付近を舞台に、果ての見えない麻薬戦争を描いた「ボーダーライン」(15年)の続編。安易な希望など持たない方が良い。

 違法に国境を越えることで金になるものは何か。そんな問いに「20年前ならコカイン、今は密入国者」という回答が飛び出す。『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』は麻薬戦争の実態を見せつつ、国境越えにまつわる問題に斬り込んでいく。相変わらずタイラー・シェリダンの脚本は社会派の匂いが濃い。

 ただし、一作目とは趣を異にする。一作目で最も印象的だったキャラクターはベニチオ・デル・トロ演じる謎の暗殺者だった。今回は彼を主人公に「物語」が語られるのだ。もっと分かり易く「メロドラマ」と言い換えても良い。社会の闇の中を突き進みながら、そこに人間の情を焙り出していく。したがって今回のデル・トロは主導権を握らない。むしろ闇に翻弄され、時にのた打ち回る。

 具体的には、カルテル同士の抗争を狙い、ある娘を誘拐するという計画を発端に、デル・トロが少女と国境越えを狙う羽目になるという設定が用意される。デル・トロの身に起こった過去の出来事も明らかにされる。無慈悲で、冷静沈着で、危険な場において常に頼りになる男だったデル・トロの人間的側面に光が当たる。これを魅力的だと歓迎するべきか否かは、判断が分かれるところだろう。

 もちろんデル・トロが描き出す人物像が具体的になるという意味において、キャラクターを愛する人には嬉しいことに違いない。ただ、デル・トロが人間臭さを感じさせればさせるほど、作為めいたものが浮上するのは見逃してはいけない事実ではないか。貧しい庶民から這い上がろうとするメキシコ少年の存在を絡めて描かれるデル・トロ絡みのエピソードは、現実感から僅かに切り離される。それはこのシリーズの目指すところではないのではないか。

 尤も、それを受け入れてしまえばショッキングな展開も映えて見えることだろう。例えば、ある展開があり、血だらけで瀕死状態のデル・トロが砂の上を這いずり回る画のインパクトはどうだ。至るところに問題が横たわり、それをビジネスにする者がいて、それに翻弄されるか利用するかは運次第で、もはや何から手を付けたら良いのか分からない地獄絵図。それを象徴するようなイメージだ。デル・トロの哀しい目が見る者を同じ空間に引きずり込む。





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