ビリオネア・ボーイズ・クラブ

ビリオネア・ボーイズ・クラブ “Billionaire Boys Club”

監督:ジェームズ・コックス

出演:アンセル・エルゴート、タロン・エガートン、エマ・ロバーツ、
   ケヴィン・スペイシー、トーマス・コックレル、ジェレミー・アーヴァイン、
   ライアン・ロットマン、ボーキム・ウッドバイン、スキ・ウォーターハウス

評価:★




 タイトルの『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』とは1980年代前半、投資家相手に詐欺行為を働いて一時的に大儲けした若者グループの名称だという。金というものはいつの世も人の正気を狂わせる。なるほどサスペンスがごろごろ転がっていそうだ。だけれどこの映画、「金があるところ、ドラマあり」と勘違いしている。正しくは「金の動くところ、ドラマあり」だ。

 「嘘はフィクサーのはじまり」(17年)の主人公は口から出まかせを吐くことで金と名声を手にしようと四苦八苦していた。つまりビリオネア・ボーイズ・クラブ(BBC)の面々に通じるものがある。けれど前者の佇まいには可笑しみと哀しみが宿るのに対し、後者には感じ入るところが露程もない。

 いや、露程もないと言うのは間違いか。若者たちの愚かさがサスペンスとは全く結びつくことがないままに突き出される。BBCは金の魔力を最初から最後まで崇拝し疑うことがない。その思慮深さから程遠い幼さを原動力にした詐欺行為でしかないのだ。バカにしか見えないのは当然だ。

 冒頭紹介される「金があるってことは、尊敬されることだ」という言葉はいかにもBBCにぴったりのセリフだけれど、この成分・養分をもっと詳細に探る必要があったのではないか。そのためには社会の構図を見せなければならないし、BBCが身を投じる投資の世界のからくりに電流を走らせる必要があったはずだ。金が溢れても、それが大きなうねりを巻き起こし、見たことのない流れを創り出すことがないのだ。

 そちらを気にする素振りも見せないのに、ロマンスや友情、道徳といったありふれていて、しかも誰でも語れそうなテーマに手を出すのもどうか。ガキンチョな彼らには似合いのそれだと承知しつつ、いつまで経っても金大好き以外に特徴のないバカの狂乱の画が続くと、次第に白けた気分が膨れ上がっていくのも仕方なし。

 若手俳優たちのアンサンブルも胸躍らない。アンセル・エルゴートは賢さを装ったバカがハマり過ぎ。タロン・エガートンは小狡さが出ていない。ジェレミー・アーヴァインらその他のBBCは個性すら与えられない。彼らが大物投資家ケヴィン・スペイシーに瞬く間に喰われていくのは、ある意味見ものだ。ねっとり、いやらしく、若者たちの人生に絡みつく。一枚も二枚も上手なのは、役柄上だけではないのだった。





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