ボヘミアン・ラプソディ

ボヘミアン・ラプソディ “Bohemian Rhapsody”

監督:ブライアン・シンガー

出演:ラミ・マレック、ルーシー・ボイントン、グウィリム・リー、
   ベン・ハーディ、ジョセフ・マッゼロ、エイダン・ギレン、
   トム・ホランダー、アレン・リーチ、マイク・マイヤーズ、
   アーロン・マカスカー、ダーモット・マーフィ

評価:★★★




 クイーンの代表曲「Bohemian Rhapsody」は今なお、聴く度に新しい気づきを生む、バケモノのような楽曲だ。リアルタイムで知ったわけではない。それでも、初めて聴いたときの衝撃は忘れられない。ロックとオペラの融合…なんて書くと陳腐な響きでしかないものの、音の、詩の隅々から沸き上がるダイナミックな詩情は、永遠に新しい息吹であり続ける。もちろんクイーンの演奏なくして、歌い上げるフレディ・マーキュリーの声なくしては成立しない楽曲だ。

 マーキュリーの半生を描く『ボヘミアン・ラプソディ』にも「Bohemian Rhapsody」の魅力は封じ込められる。この世にマーキュリーを演じられる俳優がいるのだろうか。そんな疑問に答えるラミ・マレックは、まさに渾身の演技。マーキュリーと言ったら、見た目のインパクトからして強烈で、マレックはそれを完全コピー、かつモノマネに貶めない。乳首の浮き出た白のランニングシャツ。そこから覗く胸毛。主張する腰と尻。チェストの突き出しと仰け反り。ちゃんと圧巻のパフォーマンスなのに、なんちゅーか、プリンス殿下に負けない可笑しみがあるのが良い。さすがに出っ歯は強調し過ぎだけど。

 マーキュリーのキャラクターが立っているため、ストーリーの平凡さが際立つのは皮肉と言えるだろうか。バンド映画の常、才能が集まり、上昇気流に乗ってヒットを飛ばし、しかしいつしか壁にぶつかりバンド解散の危機へ。それを乗り越えて新しい境地に辿り着く。ドラッグやアルコールが散りばめられるのもお決まりだ。

 加えてマーキュリーのプライヴェートへの踏み込みが中途半端だ。才能があるがゆえの孤独。セクシャリティの問題。忍び寄るエイズの影。それらをある種の謎のように見立てた演出は機能せず、その苦悩が浅いところで留まる。生涯に渡って愛した女性の存在やバンドメンバーを家族と言ってのける温かさも取ってつけたようではないか。

 にも拘らず、結局胸を熱くさせる場面が連続するのは70年代、80年代の空気が見事に捉えられていること、そしてクイーンの楽曲の持つ力に他ならないだろう。楽曲ができあがる過程やレコーディング風景も楽しいものの(「Bohemian Rhapsody」レコーディング時のロジャー・テイラーに大笑い)、いちばんの見ものは当然ライヴシークエンスだ。とりわけクライマックスの20分に渡るパフォーマンスが天晴れ。

 時は1985年。場所は旧ウェンブリー・スタジアム。大御所が多数出演するチャリティコンサート「ライヴ・エイド」。マーキュリーのソロ活動もあり長らく封印されていたクイーンのパフォーマンスが、大観衆が見守る中解き放たれる。この際面白いのが、会場を上から見下ろす空撮から始まり、ステージショット、楽屋裏へと入っていく流れに、一貫してライヴをバンド目線で見せようという気配があることだ。マーキュリーの目には、バンドメンバーの目にはこの空間がどう見えていたのか。それを意識し、彼らのアイデンティティーを探る。この試みは完璧にハマった。映画の数々の欠点を全てカヴァーする、神がかった一体感と臨場感。マーキュリーの魂と情熱が高く飛翔していくのが見えるのだ。





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