幸せの始まりは

幸せの始まりは “How Do You Know”

監督:ジェームズ・L・ブルックス

出演:リース・ウィザースプーン、オーウェン・ウィルソン、ポール・ラッド、
   ジャック・ニコルソン、キャスリン・ハーン、マーク・リン=ベイカー、
   レニー・ヴェニト、モリー・プライス、トニー・シャルーブ

評価:★★




 ジェームズ・L・ブルックスによるコメディは、大抵がキャラクター主導型だ。登場人物が勝手に動き出すまでに描き込むことで物語を転がしていく。少々不自然な設定があってもいい。強引なところがあってもいい。とにかくキャラクターに“クセ”をつけて、話を広げていくのだ。「ブローキャスト・ニュース」(87年)や「恋愛小説家」(97年)など、その分かりやすい例。

 だからブルックス映画に登場するのはスター俳優ばかりだ。性格スターを揃えても現実感ばかりが強調されて、かえって細部の粗が目立ってしまう。スターの華で画面を活気づける俳優がどうしたって必要なのだ。もちろんスターに無理をさせることなどしない。そのスターに見合った役柄をあてがって、そのスターが最も輝くことのできる設定の下で、彼らが伸び伸びと演じれば、それで良い。ちょっと素の部分が見えるならば、なお良いだろう。

 …となると『幸せの始まりは』は成功したも同然に見える。リース・ウィザースプーン、ポール・ラッド、オーウェン・ウィルソンといった、コメディ演技に定評があるもののブルックス作品には縁のなかったスターを揃えて、しかもそれぞれが十八番的キャラクターに扮している。ウィザースプーンがソフトボール選手というのは意外ではあるけれど、芯の強い部分は彼女ならでは。ラッドの人が好いがゆえに損をしがちな男役も、ウィルソンのちゃらんぽらんなお気楽男役も、全く無理がない。イメージそのまんま。…それにも関わらず、もうひとつキャラクターの輪郭がボヤけてしまっているのは何故。これまでのブルックス作品同様、特殊でもきっちり背景が説明されているというのに。

 ひとつはブルックスの演出が枯れてしまったことによるだろう。キャラクターを丁寧に描くのはいいけれど、過剰に彼らに寄り過ぎてしまい、喜劇の軽快感が出ていない。どのキャラクターにも良い顔をするので、かえって生温く感じられると言い換えることもできる。少々クラシック映画を意識したところも見受けられるのだけれど、そのオマージュと呼ぶには水分が多過ぎる。笑いが弾けていかないのが苦しいところだ。それにヒロイン像ももうひとつ煮え切らない。ソフトボール一筋で生きてきたのに、年齢を理由に突然の解雇通告。新しい人生を模索し始める様が湿っぽくて、喜劇のリズムを殺してしまうのだ。せっかくウィザースプーンを起用しているのに、エッジが効いていない。

 ラッドの父親役で出てくるジャック・ニコルソンは全てカットしてしまっても構わない役柄。出てくる度に画面のバランスが崩れる。そして物語が間延びする。これは実は映画全体の大きな欠点にも繋がっている。中途半端で、スピード感に欠ける。

 これはヒロインの再生の物語だ。ただし、その手段として使われるのは、彼女に想いを寄せる男ふたり。その都合良さを愛敬に言い包めるパワーが欲しかったところだ。





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