ヴェノム

ヴェノム “Venom”

監督:ルーベン・フライシャー

出演:トム・ハーディ、ミシェル・ウィリアムス、リズ・アーメド、
   スコット・ヘイズ、リード・スコット、ジェニー・スレイト、
   メローラ・ウォルターズ、ウッディ・ハレルソン

評価:★★★




 人間の身体を乗っ取ろうとする生物が出てくる上、「宿主」やら「共生」やらの言葉が飛び出すものだから、「寄生獣」(14年)を思い出す。その残虐性も共通しているか。ただ、『ヴェノム』はそのヴィジュアルのグロテスクさが「寄生獣」の比ではない。釣り上がった眼。上からも下からも生える長い歯。意思を持つかのように迫る舌。黒光りする肌。よくよく見ると、ダークサイド版スパイダーマンのような容姿だ。このヴィジュアルで大口を開け、人を食ってしまうというのだから、恐ろしい。

 恐ろしいのはしかし、ヴィジュアルだけだったりする。コミックではスパイダーマンの悪役として登場したらしいヴェノムは、「寄生獣」のミギーのように結構呑気な性格。怖い言葉を口にしながら、獰猛な言動で度肝を脱ぎながら、けれど宿主のトム・ハーディの意思を意外なほど尊重。喧嘩しながら仲良くサヴァイヴァルする。

 つまりハーディは、頭の中に話しかけてくるヴェノムの様子も表現しなければならず、そしてなるほどそれに愉快に応える。いつもより威勢の良さは抑えめに、けれど言うところはちゃんと言い、ヴェノムの悪の心に抵抗しながらも、それに快感を感じ、いつしかヴェノムとの一体化を望むようになる様。ここにユーモアが注ぎ込まれたのは、間違いなくハーディの功績だ。グロテスクでもチャーミングなのだ。

 ヴェノムのキャラクター造形が健闘するがゆえ、その見せ方が残念無念だ。ハーディとヴェノムが一体化するまでがいくらなんでも長過ぎるし、その割に地球外生命体の計画や対立が粗雑だ。また、視覚効果と編集がチープなのもどうか。ヴェノムがアクションを見せる件になると、ヴェノムの身体が黒くて見辛いことも手伝って、何が起こっているのか分からない場面が多々ある。コミック映画でこれは大きなマイナスだ。アクションはキャラクターの個性を伝える画なのだから。

 ハーディと元恋人ミシェル・ウィリアムスの関係は程良く処理される。ハーディの暴走のせいで、仕事を首になったウィリアムスは、ハーディに冷たい態度。これがハーディの純情をくっきり見せる。ヴェノムがウィリアムスの身体に入り込むお楽しみショットも楽しい。ただウィリアムス、チェックのミニスカートはさすがに無理がある。

 …と思いがけず愉快な気分が溢れるものの、果たしてこのアプローチは正解なのかという疑問はある。ヴェノムの恐ろしさがヴィジュアルだけに留まるのは勿体無いのではないか。その非人間的側面にポイントを置き、ハーディがそれに抵抗する苦しさや怖さを浮かび上がらせるべきではなかったか。それこそがヴェノムというキャラクターを与えられた者たちの使命ではないか。このままだとスパイダーマンと力を合わせて悪に立ち向かうキャラクターになりそう。このもやもやした気分は、今後のシリーズで解消されていくのだろうか。





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