チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛

チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛 “Tulip Fever”

監督:ジョン・マッデン

出演:アリシア・ヴィキャンデル、デイン・デハーン、クリストフ・ヴァルツ、
   ジャック・オコンネル、ホリデイ・グレインジャー、トム・ホランダー、
   マシュー・モリソン、ケヴィン・マクキッド、ダグラス・ホッジ、
   ジョアンナ・スキャンラン、カーラ・デルヴィーニュ、
   ザック・ガリフィアナキス、ジュディ・デンチ

評価:★★




 肖像画のモデルを務める際、アリシア・ヴィキャンデルがドレスをまとう場面が目に焼きつく。ヨハネス・フェルメールの名画に着想を得た小説が原作らしく、なるほど気合いが入っている。首周りの装飾やシンプルな髪飾りやイアリング、凝った構造もさることながら、やはりブルーの色が鮮烈。別の場面で赤と黄の混じったチューリップを手に持つのも気が利いている。

 ヴィキャンデルの陶器のように滑らかな肌にも見入る。決して色白ではないヴィキャンデルの体温を感じさせる肉体が、絵画のヒロインとして映えるのだ。デンジャラスな生え際を見事に隠したデイン・デハーンとのケミストリーも抜群。ふたりが一目で恋に落ち、抑えていた欲望が一気に爆発するあたりの感じも良く出ている。若いもの、辛抱堪らんヨネ。

 加えて恋模様とチューリップ熱を重ねるのも面白い。1634年のアムステルダム、チューリップが空前の人気を博し、家が建つような値段で飛ぶよう売れたとのことで、チューリップバブルと言った方がしっくりくる。けれど熱は冷める。バブルは弾ける。ふたりの恋模様も消えてしまうのか。…なるほど、オランダらしい恋じゃないの。

 あぁ、では何故『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』に最後まで乗れないのかというと、後半に入ってからの冗談としか思えない破綻が無視できないからだ。最大の破綻は、ヴィキャンデルが実行に移す計画が、どう考えても無理、というかバカだからだ。住み込みメイドの思いがけない妊娠を絡めた計画は、誰の目から見ても愚かで、それゆえヴィキャンデルの夫、そして善意の人であるクリストフ・ヴァルツをマヌケに見せてしまうという罪深さが際立つ。

 いよいよ始まる出産前後の展開は、いかにも頭を捻って考え出されたご都合主義に満ちている。赤ん坊の父親の失踪を皮切りに、修道院と物語の関係、医師や産婆の共謀、画家の策略と投資…等が、恋の盛り上げアイテムとして恥ずかしげもなく作為全開になる。小説的というより、ほとんど破廉恥に近い、厚顔無恥な脚本。

 せめてこれを喜劇として撮ることはできなかったのか。時折笑いが挟まれるものの、基本はシリアスを崩さない。もっと陽気に大らかに人間の心根を描いてくれたなら、もしかするとウィリアム・シェイクスピア風コメディとして、その艶を楽しめたかもしれない。愚かなドタバタを良い歳した大人たちのはしゃぎに見せた時点で、アウト。結末までどうして真顔でいられるのか、大いに不思議だ。





ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ