クレイジー・リッチ!

クレイジー・リッチ! “Crazy Rich Asians”

監督:ジョン・M・チュウ

出演:コンスタンス・ウー、ヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ヨー、
   オークワフィナ、ケン・チョン、ソノヤ・ミズノ、ジミー・O・ヤン、
   ジェンマ・チャン、リサ・ルー、ニコ・サントス、
   ジン・ルージ、フィオナ・シェー

評価:★




 勝地涼をマッチョにした感じのヘンリー・ゴールディングと前田敦子よりもキンタロー。に近い顔立ちのコンスタンス・ウーを主人公にした『クレイジー・リッチ!』は、「ジョイ・ラック・クラブ」(93年)以来となる、メインキャスト全員がアジア人俳優によるメジャー映画だという。「ジョイ・ラック・クラブ」はちっとも楽しくなかった。そして奇遇なことに、『クレイジー・リッチ!』も面白いところがひとつもない。こんなんでロマンティック・コメディを名乗ってくれるな。

 長く付き合っている愛しい恋人が実はとんでもない金持ちだったら…という夢物語のような設定でも、「プリティ・ウーマン」(90年)には全く近づかない。見せられるのは、右も左も上も下も、金が全ての俗物たち。彼らが愛するのは金に囲まれた勝ち組の自分。いやホント、見かけが派手で心はがらんどうな金持ちの生態が綴られるのみなのだ。金持ち博物館と言って良い。

 もちろん主役カップルはハートがあるように描かれるわけだけれど、そこにはサスペンスもドラマも生まれない。ふたりが向き合うのはラストシーンのみで、あとは互いの視線が全然絡まらないからだ。ヒロインが一貫して見つめるのはセレブライフであり、その奥に女王然として君臨する恋人の母親なのだ。

 そうヒロインは、彼女を羨む金の亡者たちの嫉妬の目はもちろん、全編に渡って母親からの圧力に晒される。どこの馬の骨か分からない小娘。息子の恋人になんて絶対に認めないわよと、金と権力を使ってヒロインを追い込む。セクハラやらパワハラやら世間は叫ぶばかりだけれど、こういうのはすんなり受け入れてコメディとして見るということ、どういうわけよ。

 そしてヒロインは、そんな品定め状態に圧倒されるばかりで、爽快なアクションとは全く無縁。良い人かなーと思った奴が、結局心ない奴であることに気づいて傷ついて…を繰り返す。物凄く愚かしい比較になるけれど、日本の「花より男子」とやらのヒロインだったら、啖呵のひとつやふたつ切って宣戦布告ぐらいするんじゃなかろうか。ヒロインは終幕、恋人の幸せを考えたアクションを見せるけれど、ハートがあるからというより、バカだからに見える。当然のことながらウーは魅力的に見えない(演技としては「グレイズ・アナトミー」(05年~)でジョー役を務めるカミーラ・ラディントンにそっくり)。

 バカと言えば、ヒロインに愛されるゴールディングも同様だ。理想を掲げるかマッチョな身体をアピールするしか能がなく、ちっとも具体的な解決策を示さない(と言うか、母の圧力にほとんど気づいていないマヌケぶり)。全く持って情けない男なのに、女はそんな彼がやっぱり好きなのだ。とんだバカップル。金はあっても羨ましくないふたりなのだった。いや、金は相当羨ましいか。正直か。





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