かごの中の瞳

かごの中の瞳 “All I See Is You”

監督:マーク・フォースター

出演:ブレイク・ライヴリー、ジェイソン・クラーク、
   ダニー・ヒューストン、ウェス・チャサム、アナ・オライリー、
   ミケル・フェルナンデス、イヴォンヌ・ストラホフスキー

評価:★★




 目の見えない人が視力を取り戻す物語は、スリラーになりやすい。見えないことでかえって保たれていたバランスが崩れるからだ。良く見えるようになって良かったねー、とは決してならない。たったひとりが視覚的に判断する力を得ることで、不利な立場に追い込まれる者が出てくるのだ。

 ただ、この『かごの中の瞳』、崩れたバランスを利用してエンターテイメントの方向に突っ走ることには一切興味を示さない。あくまで大真面目に視力の回復を見つめ、それゆえに夫婦が直面する現実問題をあの手この手で炙り出す。マーク・フォースター、俺はそんなに単純な人間じゃないぜってことか。いやぁ、随分有り難くない主張だ。

 フォースターは視覚がいかに生活に影響を与えるのかという基本を押さえながら、そこから派生する普遍的なテーマに拘る。自己の解放から得られる快感。生き方に大きな光と影をもたらす美醜。コントロールできず膨れ上がるばかりの劣等感と嫉妬。それゆえに擦れ違い続ける男女。試される愛情。底知れぬ性的欲望。そう、フォースターは忙しく視線を移す。その結果、何を言いたいのか分からぬ外観に。

 とりわけやたら性衝動を意識した画が出てくる不思議。いきなり主役男女のセックスで始まり、ガラス張りのセックス、全裸芸術やコスプレ、ストリップ小屋、SMプレイ、昼メロ的不倫愛とてんこ盛り。役者も頑張って脱いでいる。主題に沿っているようで、どうしても溶け合わない頓珍漢ぶりは、珍作の匂いすら漂わせる。もちろんフォースターの演出はシリアス顔をキープする。

 でも、ブレイク・ライヴリーが拝めるのだから良いのではないかという向きもあろう。ただ、思いの外、ライヴリーは美しく撮られていない。目が見えないときの作り込みが雑なのはストーリー上仕方がないにしても、せっかく視界が豊かになり美しく着飾る楽しさに目覚めても、完璧なドレスアップを見せるのはワンシーンのみで、あとは髪をブロンドにして満足している(しかもブロンドが似合っていない)。ここはもっと劇的にヒロインを変身させるべきだろう。ライヴリーをバービー化しないでどうするのか。

 そうじゃないと終幕に描かれる、ようやくの映画的展開が映えない。夫が人知れず抱える怪物性が立ち上がりに苦しんでいる。ジェイソン・クラークはこれ以上ないパーフェクトな配役だというのに(実に失礼な意見だ)、これでは「美しい妻を持った俺」に酔った男の、ちんけでしみったれた三文小説ではないか。





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