December 28-30 2018, Weekend
◆12月第4週公開映画BUZZ
バイス “Vice”
配給:アンナプルナ
監督:アダム・マッケイ
Budget:$60,000,000
Weekend Box Office:$7,768,371(2442) zzz...
OSCAR PLANET Score:63.8
Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
主演男優賞:クリスチャン・ベール
助演男優賞:スティーヴ・カレル
助演男優賞:サム・ロックウェル
助演女優賞:エイミー・アダムス
撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞
録音賞、音響効果賞、作曲賞
バイス “Vice”
配給:アンナプルナ
監督:アダム・マッケイ
Budget:$60,000,000
Weekend Box Office:$7,768,371(2442) zzz...
OSCAR PLANET Score:63.8
Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
主演男優賞:クリスチャン・ベール
助演男優賞:スティーヴ・カレル
助演男優賞:サム・ロックウェル
助演女優賞:エイミー・アダムス
撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞
録音賞、音響効果賞、作曲賞
“Destroyer”
配給:アンナプルナ
監督:カリン・クサマ
Budget:$9,000,000
Weekend Box Office:$55,347(3) Good!
OSCAR PLANET Score:71.0
Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
主演女優賞:ニコール・キッドマン
助演男優賞:セバスチャン・スタン
撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞
録音賞、音響効果賞、作曲賞
ビリーブ 未来への大逆転 “On the Basis of Sex”
配給:フォーカス・フィーチャーズ
監督:ミミ・レダー
Budget:-
Weekend Box Office:$686,355(30) Good!
OSCAR PLANET Score:69.3
Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
主演女優賞:フェリシティ・ジョーンズ
助演男優賞:アーミー・ハマー
撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞
録音賞、音響効果賞、作曲賞
“Stan & Ollie”
配給:ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
監督:ジョン・S・ベアード
Budget:$10,000,000
Weekend Box Office:$78,104(5) Good!
OSCAR PLANET Score:81.4 BIG WAVE!!!
Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
主演男優賞:スティーヴ・クーガン
主演男優賞:ジョン・C・ライリー
撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞
録音賞、音響効果賞、作曲賞
“Holmes & Watson”
配給:コロンビア
監督:イータン・コーエン
Budget:$42,000,000
Weekend Box Office:$7,411,522(2776) zzz...
OSCAR PLANET Score:18.5 BIG BOMB!!!
Razzie Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
主演男優賞:ウィル・フェレル
主演(助演)男優賞:ジョン・C・ライリー
助演男優賞:レイフ・ファインズ
助演女優賞:レベッカ・ホール
※OSCAR PLANET Score…各有力媒体の批評を基にOSCAR PLANET独自の計算法により弾き出した評価バロメーター。作品賞、監督賞&脚本賞レース参戦を目指すのであれば、少なくとも70.0以上は欲しく、80.0以上なら堂々たる資格を具えていると考えて良い。ただし、演技賞や技術賞では作品評価が伸びなくても、候補入りする場合が少なくない。
※Oscar Potential…オスカーチャンスのある部門。太字は特にその可能性が高い。
【総括】
アダム・マッケイ監督の下、「マネー・ショート 華麗なる大逆転」(16年)チームが再結集。『バイス』はジョージ・W・ブッシュ政権下のアメリカ、ディック・チェイニー副大統領を辛辣な目で描き出すポリティカル・コメディになる。今年の賞レースの一翼を担うとの期待に応えて、批評は良好。マッケイの狂いない演出が題材の旨味を的確に引き出し、堅苦しくなることなくユーモラスに話が展開する。また、とりわけ高評価なのはチェイニーに扮したクリスチャン・ベールの大変身パフォーマンス。ベールらしく肉体改造を成功させての演技で、映画が描くチェイニーの核を完璧に捉えているとのこと。政治を取り上げているがゆえか、好き嫌いも分かれている格好だが、その演出力に対しては否定派も認めている感。賞レースではベールの主演男優賞を中心に快走中。オスカーでも健闘が期待されているが、興行的には期待外れ。ひょっとすると賛否の割れ方は想像以上にはっきりしたものなのかもしれない。…となるとオスカーは…???
テルライド映画祭で衝撃を走らせたのは『Destroyer』。カリン・クサマ監督がニコール・キッドマンを主演に迎えたドラマティック・スリラーで、かつて潜入捜査で負った心の傷に囚われて生きるロサンゼルス市警の女性捜査官の新たなる戦いを描く。何が衝撃かと言うと、キッドマンの役作りに尽きる。過去に囚われた様を表現すべく、美貌を完全に封印、人生にぼろぼろになった荒んだ容姿となって登場する。批評はそのキッドマンのパフォーマンスを中心に好評。単純な犯罪物に終わることのない、余韻あるドラマが描き出され、クサマとキッドマンが狙っただろう感情の揺さぶりが見事にかけられているとのこと。尤も、やや作り手の思いが強過ぎて全体が破綻しているとの声もあるのだが…。オスカーではキッドマンの主演女優賞に期待がかけられているが、賞レース序盤は苦戦中。逆転候補はあるだろうか。興行成績を見る限り、その目は小さそうだが…。
『ビリーブ 未来への大逆転』も賞狙いの一品。史上二人目のアメリカ女性最高裁判事となったルース・ギンズバーグの若き日の性差別裁判を描く。ギンズバーグに扮するのは好調フェリシティ・ジョーンズで、なるほど批評家からはジョーンズに対して温かい賛辞がかけられている。女性の権利の向上を高らかに謳い上げる昨今にぴったりの題材で、ジョーンズが颯爽と物語を突っ切っていく様は大変気持ち良いもの。ジョーンズも美しいバランスでヒロインの葛藤と躍動を表現しているという。その一方で、物語に対しては目新しいところのない平凡な展開という辛辣な声も小さくなく、それが賞レースで目立てないままここまで来ている原因と言って良さそう。おそらく今後の逆転浮上も難しいのではないか。興行的にはまずまずではあるものの、新たなBUZZ作りには貢献しそうもない。
さらにさらに『Stan & Ollie』も賞レース参戦が噂されている作品。サイレント時代の人気喜劇コンビ、スタン・ローレルとオリヴァー・ハーディを描く実話ドラマ。スティーヴ・クーガンとジョン・C・ライリーが彼らに扮して描き出すのは、芸術や創造というものに対する敬意と祝福。実際のエピソードを再現するだけでなく、そこにあるアーティストの心意気をエンターテイメント性たっぷりに浮上させていく。クーガンとライリーの掛け合いがそのエンジンになっていることは間違いなく、堅苦しいところのないハートたっぷりの仕上がり。ここまでの賞レース展開を見る限り、浮上チャンスがあるのはライリーの主演男優賞になるだろうが、おそらく実現は難しい。ただ、かつての喜劇コンビへの敬意を示すことができただけでも立派な結果と言えようか。興行的には良くもないが悪くもない数字でデビュー。おそらく拡大公開の成功は難しいはず。
ジョン・C・ライリーには『Holmes & Watson』もあり、こちらも賞レース参戦が期待されている。ただし、こちらは賞は賞でもラジー賞。ウィル・フェレルとライリー、三度目の共演作となる本作は、探偵界では知らぬ者がいないシャーロック・ホームズとジョン・ワトソンの活躍をコメディテイストで描き出すもの。プロットと配役だけでバカバカしい(もちろん狙い通り)ドタバタが想像できるが、批評家筋はそれに冷酷な視線を投げ掛けている。名探偵の冒険にスリルも笑いも全く感じられず、ただひたすらにお寒い空気が流れる内容で、ロンドンの街がこれほどまでに魅力を失ったことはないとこてんぱんに叩かれている。ラジー賞大量ノミネートが本当に狙えるかもしれない。興行的に大コケしていることが、それを後押しする?!

配給:アンナプルナ
監督:カリン・クサマ
Budget:$9,000,000
Weekend Box Office:$55,347(3) Good!
OSCAR PLANET Score:71.0
Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
主演女優賞:ニコール・キッドマン
助演男優賞:セバスチャン・スタン
撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞
録音賞、音響効果賞、作曲賞
ビリーブ 未来への大逆転 “On the Basis of Sex”
配給:フォーカス・フィーチャーズ
監督:ミミ・レダー
Budget:-
Weekend Box Office:$686,355(30) Good!
OSCAR PLANET Score:69.3
Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
主演女優賞:フェリシティ・ジョーンズ
助演男優賞:アーミー・ハマー
撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞
録音賞、音響効果賞、作曲賞
“Stan & Ollie”
配給:ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
監督:ジョン・S・ベアード
Budget:$10,000,000
Weekend Box Office:$78,104(5) Good!
OSCAR PLANET Score:81.4 BIG WAVE!!!
Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
主演男優賞:スティーヴ・クーガン
主演男優賞:ジョン・C・ライリー
撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞
録音賞、音響効果賞、作曲賞
“Holmes & Watson”
配給:コロンビア
監督:イータン・コーエン
Budget:$42,000,000
Weekend Box Office:$7,411,522(2776) zzz...
OSCAR PLANET Score:18.5 BIG BOMB!!!
Razzie Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
主演男優賞:ウィル・フェレル
主演(助演)男優賞:ジョン・C・ライリー
助演男優賞:レイフ・ファインズ
助演女優賞:レベッカ・ホール
※OSCAR PLANET Score…各有力媒体の批評を基にOSCAR PLANET独自の計算法により弾き出した評価バロメーター。作品賞、監督賞&脚本賞レース参戦を目指すのであれば、少なくとも70.0以上は欲しく、80.0以上なら堂々たる資格を具えていると考えて良い。ただし、演技賞や技術賞では作品評価が伸びなくても、候補入りする場合が少なくない。
※Oscar Potential…オスカーチャンスのある部門。太字は特にその可能性が高い。
【総括】
アダム・マッケイ監督の下、「マネー・ショート 華麗なる大逆転」(16年)チームが再結集。『バイス』はジョージ・W・ブッシュ政権下のアメリカ、ディック・チェイニー副大統領を辛辣な目で描き出すポリティカル・コメディになる。今年の賞レースの一翼を担うとの期待に応えて、批評は良好。マッケイの狂いない演出が題材の旨味を的確に引き出し、堅苦しくなることなくユーモラスに話が展開する。また、とりわけ高評価なのはチェイニーに扮したクリスチャン・ベールの大変身パフォーマンス。ベールらしく肉体改造を成功させての演技で、映画が描くチェイニーの核を完璧に捉えているとのこと。政治を取り上げているがゆえか、好き嫌いも分かれている格好だが、その演出力に対しては否定派も認めている感。賞レースではベールの主演男優賞を中心に快走中。オスカーでも健闘が期待されているが、興行的には期待外れ。ひょっとすると賛否の割れ方は想像以上にはっきりしたものなのかもしれない。…となるとオスカーは…???
テルライド映画祭で衝撃を走らせたのは『Destroyer』。カリン・クサマ監督がニコール・キッドマンを主演に迎えたドラマティック・スリラーで、かつて潜入捜査で負った心の傷に囚われて生きるロサンゼルス市警の女性捜査官の新たなる戦いを描く。何が衝撃かと言うと、キッドマンの役作りに尽きる。過去に囚われた様を表現すべく、美貌を完全に封印、人生にぼろぼろになった荒んだ容姿となって登場する。批評はそのキッドマンのパフォーマンスを中心に好評。単純な犯罪物に終わることのない、余韻あるドラマが描き出され、クサマとキッドマンが狙っただろう感情の揺さぶりが見事にかけられているとのこと。尤も、やや作り手の思いが強過ぎて全体が破綻しているとの声もあるのだが…。オスカーではキッドマンの主演女優賞に期待がかけられているが、賞レース序盤は苦戦中。逆転候補はあるだろうか。興行成績を見る限り、その目は小さそうだが…。
『ビリーブ 未来への大逆転』も賞狙いの一品。史上二人目のアメリカ女性最高裁判事となったルース・ギンズバーグの若き日の性差別裁判を描く。ギンズバーグに扮するのは好調フェリシティ・ジョーンズで、なるほど批評家からはジョーンズに対して温かい賛辞がかけられている。女性の権利の向上を高らかに謳い上げる昨今にぴったりの題材で、ジョーンズが颯爽と物語を突っ切っていく様は大変気持ち良いもの。ジョーンズも美しいバランスでヒロインの葛藤と躍動を表現しているという。その一方で、物語に対しては目新しいところのない平凡な展開という辛辣な声も小さくなく、それが賞レースで目立てないままここまで来ている原因と言って良さそう。おそらく今後の逆転浮上も難しいのではないか。興行的にはまずまずではあるものの、新たなBUZZ作りには貢献しそうもない。
さらにさらに『Stan & Ollie』も賞レース参戦が噂されている作品。サイレント時代の人気喜劇コンビ、スタン・ローレルとオリヴァー・ハーディを描く実話ドラマ。スティーヴ・クーガンとジョン・C・ライリーが彼らに扮して描き出すのは、芸術や創造というものに対する敬意と祝福。実際のエピソードを再現するだけでなく、そこにあるアーティストの心意気をエンターテイメント性たっぷりに浮上させていく。クーガンとライリーの掛け合いがそのエンジンになっていることは間違いなく、堅苦しいところのないハートたっぷりの仕上がり。ここまでの賞レース展開を見る限り、浮上チャンスがあるのはライリーの主演男優賞になるだろうが、おそらく実現は難しい。ただ、かつての喜劇コンビへの敬意を示すことができただけでも立派な結果と言えようか。興行的には良くもないが悪くもない数字でデビュー。おそらく拡大公開の成功は難しいはず。
ジョン・C・ライリーには『Holmes & Watson』もあり、こちらも賞レース参戦が期待されている。ただし、こちらは賞は賞でもラジー賞。ウィル・フェレルとライリー、三度目の共演作となる本作は、探偵界では知らぬ者がいないシャーロック・ホームズとジョン・ワトソンの活躍をコメディテイストで描き出すもの。プロットと配役だけでバカバカしい(もちろん狙い通り)ドタバタが想像できるが、批評家筋はそれに冷酷な視線を投げ掛けている。名探偵の冒険にスリルも笑いも全く感じられず、ただひたすらにお寒い空気が流れる内容で、ロンドンの街がこれほどまでに魅力を失ったことはないとこてんぱんに叩かれている。ラジー賞大量ノミネートが本当に狙えるかもしれない。興行的に大コケしていることが、それを後押しする?!
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