LOVE,サイモン 17歳の告白

LOVE,サイモン 17歳の告白 “Love, Simon”

監督:グレッグ・バーランティ

出演:ニック・ロビンソン、キャサリン・ラングフォード、
   アレクサンドラ・シップ、ホルヘ・レンデボルグ・ジュニア、
   キーナン・ロンズデイル、マイルズ・ハイザー、ジョーイ・ポラーリ、
   ローガン・ミラー、タリタ・ベイトマン、
   ジェニファー・ガーナー、ジョシュア・デュアメル

評価:★★★★




 元クォーターバックの父親と卒業生代表の母親の元に生まれ、料理好きなのに料理下手な妹のいるサイモンは、目下のところ、アイデンティティー問題に悩んでいる。17歳の彼はゲイなのだ。彼は言う。ゲイだけがカミングアウトを強いられるのは不公平だ。なるほど、一理ある。『LOVE,サイモン 17歳の告白』は彼の勇気を描く物語だ。

 ゲイに対する偏見は依然根強いのだろうけれど、昔に較べたら格段に理解は深まっている。それならばさっさとカミングアウトすれば良い。そう容易く口にするのがいかに無神経か。この映画が好もしいのは、作り手がそこのところを理解し、「人生は楽しいけれど、誰もゲイだと知らない」、そんなサイモンの状況が変わっていく様を、優しくそっと見守る気配が感じられることだ。サイモンをじれったく感じても、そう思う気持ちに、愛がある。

 サイモンの悩みが深まるきっかけは、同じ学校にやはりゲイであること隠しているブルー(ハンドルネーム)という少年がいることに気づいてからだ。サイモンは顔も知らぬままブルーに恋をする。それゆえこれまで以上に周りを注意深く観察するという展開が巧い。サイモンの目を通して浮かび上がるのは、学園ヒエラルキー、狭い中で複雑に絡む友人関係、愛しているからこそ打ち明けられない葛藤、信頼しているからこそ不安も募る家族。サイモンは知らず知らずのうちに成長する。

 サイモンがある「脅迫」を受けることで動き出す物語で強く心に残るのは、サイモンが間違いを犯し、友人を傷つけた際の彼らの態度で、実はここに物語のひとつの核がある。彼らはサイモンに怒る。けれど、それは彼がゲイであることを隠していたからではない。そんなことは心豊かな彼らにとって重要なことではない。怒れるのは、サイモンが彼らの気持ちに鈍感だからだ。つまりゲイであることは、好奇の目に晒されることはあっても、思いの外、人間関係に影響を及ぼさない。それが強い心、信頼できる心というものだ。家族との関係もそれに繋がっていく。脚本に込められたハートが気持ち良い。

 一度強く信頼できる魂が味方にいることを確信した人間は強い。それゆえのクライマックスのサイモンの行動。後はほんの少しの勇気さえあれば良い。サイモンの世界はカミングアウト前後でたいして変わらない。変わったのはちょっとだけ世界が広くなったことだ。カミングアウトを推奨するのではなく、そこに至るまでのドラマを讃え、若者たちにエールを贈る。そう、これはゲイの世界に限った話ではない。悩み傷ついたことのある魂ならば、サイモンの心揺れ動きに本物の痛みと喜びを感じるはずだ。

 サイモン以外の人物も生き生きと躍動する。ニック・ロビンソン(田中圭に河相我聞の目を貼りつけた感じ)を始め、俳優たちが皆適材適所だ。そして、その内のひとりが口にする。生きていると違和感を感じることがある。自分だけが外にいて、状況を客観的に眺めている。あぁ、これはやはり、誰しもが経験する気配なのだろう。孤独の一種と言って良いかもしれない。けれど、それを知るからこその優しさ、この映画はそれを知っている。





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