恋するポルノグラフィティ

恋するポルノグラフィティ “Zack and Miri Make a Porno”

監督:ケヴィン・スミス

出演:セス・ローゲン、エリザベス・バンクス、クレイグ・ロビンソン、
   ジェリー・ベッドノブ、ジェイソン・ミューズ、ブランドン・ラウス、
   ジェニファー・シューウォールバック、ジャスティン・ロング、
   トム・サヴィーニ、ジェフ・アンダーソン、トレイシー・ローズ

評価:★★★




 パッと見た感じはジャド・アパトウ映画のようだ。セス・ローゲンとエリザベス・バンクスというアパトウ映画の常連が主演しているし、最初から最後まで下ネタのオンパレード。排泄ネタも顔を出すし、Fワードもひっきりなしだ。ところが『恋するポルノグラフィティ』は、どっこいケヴィン・スミス監督作品だ。言われて見れば、たどたどしいけれど親しみやすい雰囲気やセリフはスミス映画のイノチのようなものだ。

 家賃が払えず水道や電気も止められてしまったルームメイトの男女ふたりが、生活のためにポルノ映画を作ろうとする話。なんだか酷くシビアな展開を予想してしまうけれど、深刻さは全くなく、コメディの明るさが全編を照らしているのが嬉しい。なんせ「貧しくても心は豊かであり続ける」というのを無意識のうちに選べる男女が主人公だから、厳しい状況下に置かれてもあっけらかんと前向きさを失わないのだ。

 この男と女、高校生の頃からの親友で、遂にはポルノ映画まで作る。しかも男優女優として共演、人前でセックスまですることになる。後半はポルノ風味の「恋人たちの予感」(89年)といった趣で、男と女の間に流れる友情が愛情に変わっていく様が描かれていく。ポイントは小太りのローゲンとクールビューティのバンクスの相性がとにかく良いことで、見た目の相性が抜群なのはもちろん、コメディの間の合わせ方が名人芸。本当に長年の友達らしい空気を嘘臭くなく作り出している。

 セックス場面の撮影前はこれからも変わらぬ友情を誓い合っていたふたりなのに、いざとなると急に異性として意識し出してしまうのが可愛らしい(そして、本当っぽい)。ポルノ映画の過激さなど忘れて優しく求め合うふたりは、映画の画としては刺激に欠けるのかもしれないけれど、互いへの愛情に気づく変化は人間味に溢れている。このときのローゲンとバンクスの表情は必見。それからその後、互いへの気持ちを上手く消化できず喧嘩になってしまう場面の、ローゲンとバンクスの切ない表情も必見。傷つき方に現実感がある。寝てしまったら急に気になって仕方なくなるという描写は、言葉にするととても単純なのだけど、それがとてもデリケートに描かれているところがいちばんの見ものだ。

 スミスの演出は無駄が多くて、でもそれが持ち味でもある。脇に面白いエピソードを見つけてしまったら本筋そっちのけでそちらを延々見せてしまうし、ポルノ映画を撮るという設定のユニークさだけで最後まで引っ張ってしまう。捻りは嫌いなのか、なんとも強引なところがある人なのだ。でも、それが題材にフィットすることで憎めなくもなることもあり(もちろん呆れてしまうこともある)、この映画では幸運にもチャーミングな愛敬に繋がった。なんだか長年の友達が作ったみたいな映画。「チェイシング・エイミー」(97年)で初めてスミス映画に出会ったときのことを、ふと思い出した。





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