追想

追想 “On Chesil Beach”

監督:ドミニク・クック

出演:シアーシャ・ローナン、ビリー・ハウル、アンヌ=マリー・ダフ、
   エイドリアン・スカーボロー、エミリー・ワトソン、サミュエル・ウエスト

評価:★★




 『追想』におけるシアーシャ・ローナンのイメージカラーはスカイブルーだ。新婚旅行先のチェジルビーチではずっとスカイブルーのワンピースだし、その他の場面でもスカイブルーをポイントに置いたファッションが基本。何よりローナン自身がブルーの瞳の持ち主だ。スカイブルーは美しい色だけれど、その表情が哀しみに染まっていくところがミソだ。

 ローナンとビリー・ハウルは結婚したばかり。それなりの期間付き合っていたふたりに、最初に訪れる試練。以前「成田離婚」なんて言葉が流行ったけれど、それに通じる窮地。ここで描かれるそれは、やけに生々しいのが特徴だ。夫婦が若いゆえ、余計に。横たわるのは「性」の難しさ。それが他の問題に波及する。

 …とここでポイントになるのが、時代が1962年という点だ。もう少し時が流れれば、急激な時代の変化があるのだけれど、まだそこに辿り着かないふたりは、問題への対処の仕方が分からず、それどころか必要以上に傷つけ合ってしまう。ハウルには女性経験がなく、ローナンは性の知識すら怪しい。斯くして、失敗するべくして失敗するふたり。

 今の時代の価値観からすれば笑い飛ばせるかもしれないことが(男なら一度や二度の失敗はあるだろう。ない?ろくな死に方しないよ)、この時代では取り返しのつかない傷跡を残す。ローナンとハウルが深刻顔で互いの思いをぶつける場面は物語のハイライトのひとつで、お節介のひとつでも焼いて、助言したくなるくらい。

 …とそう、一貫してシリアスなトーンで語られる物語は、傍から見れば滑稽なところも多い。作り手がそれに無視を決め込むのは解せないところで、ふたりの直面する問題の養分のひとつでもある可笑しみを丁寧に掬い上げていたならば、格段に奥行きが深くなったのではないか。鬱陶しいほど回想場面を入れるよりも、よっぽど物語や人物に厚みが出たはずだ。

 いつものように清々しい美しさのローナンは保守的と言うか古風と言うか、とにかく1962年にしっとり溶け込む。髪の毛がもう2、3センチ短かったら、ヴィジュアルに言うことなし。ハウルはそんなローナンに押されっぱなし。物語を通して核となるイメージが定着せず、ガイ・ピアースを思い切り若くした印象しか残さない。男の繊細さとの相性もイマイチ…か。





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