2重螺旋の恋人

2重螺旋の恋人 “L'amant double”

監督:フランソワ・オゾン

出演:マリーヌ・ヴァクト、ジェレミー・レニエ、ジャクリーン・ビセット、
   ミリアム・ボワイエ、ドミニク・レイモン、ファニー・サージュ

評価:★★




 まあ、フランソワ・オゾンに限ったことではないものの、同じ監督の映画を追い続けていると、デジャヴを覚えることが多い。全く異なる話なのに、同じ監督の過去の作品で同様の気配を感じたことを確信するのだ。映画という芸術は監督の嗜好や生理が如実に表れるものであることを考えると、不思議なことではないのだけど…。

 短編時代から追い掛けているオゾンは、特にその傾向が強い(もちろん例外はある)。生々しいものやグロテスクなものを、ポップにキッシュに突きつけるのが、オゾンの映像的得意技で、かつそこに自己愛臭(ただし不快ではなく、滑稽で、愛嬌のある自己愛)が滑り込むことで、オゾン・ワールドは完成される。スタイリッシュな世界観が変態的に揺れ始める。この説明で大半のオゾン映画を紹介できる。

 そしてそう、『2重螺旋の恋人』などドンピシャというやつだ。謎の腹痛に悩まされる女が、誠実な精神科医と恋に落ち、しかしその双子の兄とも関係を持ってしまう。ありふれたラヴストーリーが、デヴィッド・リンチ的、デヴィッド・クローネンバーグ的に歪み、アルフレッド・ヒッチコック的に捩じれ、ある結末に向かって突き進む。でも、これはやっぱりオゾン映画だ。

 いきなり子宮内を映し出す、いかにもな画を提示したかと思えば、階段は眩暈を誘うように渦を巻き、彫刻は内臓のごとき動きを見せ、人間関係においても肌の表面を覆う皮を剥ぎ取っていくかのように感情の森の深くに分け入る。好きな人は多分、この時点でオゾンがオゾンであることに快哉を叫ぶのではないか。

 問題はこれが、オゾンの過去の作品の再生産に見えることだ。個性と呼べば聞こえは良いものの、別に新しい視線や技が用意されるわけではないのが厳しい。むしろ己の演出に酔うことでイメージの広がりを拒む。ただ、救いはこれが原作物だということで、物語の捻りがオゾンの演出とぶつかり、奇妙な後味を生んでいる。ただし、話の革新が見えてくるクライマックスまで、その快感は待たなければならない。

 ヒロインのマリーヌ・ヴァクトは「17歳」(13年)のときより大分女性らしい身体つきになり、20代の美しさを発散する。ばっさり髪をカットして登場するのが見もので、時折エディ・レッドメインに見えるのが可笑しい。ジェレミー・レニエのような大人の男と一緒の画面に入っても、ちゃんとバランスが取れているのが成長の証。ヴァクトは今回、物語の大半でレニエに振り回されているものの、どちらかというと振り回す側の方が似合うだろう。今後作品次第で大いに化けるかもしれない。





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