ウインド・リバー

ウインド・リバー “Wind River”

監督:テイラー・シェリダン

出演:ジェレミー・レナー、エリザベス・オルセン、ジョン・バーンサル、
   グレアム・グリーン、ケルシー・アスビル、ギル・バーミンガム

評価:★★★




 『ウインド・リバー』とはワイオミング、ネイティヴ・アメリカン保留地の名前だ。この土地では夜、マイナス30度にまで気温が下がり、その中を走ろうものなら、瞬く間に肺から血が噴き出して死に絶える。18歳の先住民少女は、そうして死ぬ。壮絶な事件を連想する。

 タイラー・シェリダンはまず、この土地の気配を捉えることに力を注ぐ。雪以外何も見当たらず、変化のない白が延々続く。雪は時間の流れまで凍らせる。広いアメリカの表情のひとつと言えばそれまでだけれど、アメリカと聞いて真っ先にこんな景色を思う人がどれだけいるだろう。しかも、ここはネイティヴ・アメリカンの住処だ。

 生き残るか、諦めるか。ある者はこの土地で生きる意味について、そう形容する。人が人らしく生きるにも大変な労力と精神力が必要とされる。少女殺害事件の捜査も軽快には進まない。実のところ、明らかになる真実は陰惨ではあっても意表を突くほどのものではない。ただ、忘れられた土地が事件の片棒を担いでいることに気づくと、その恐怖と絶望を肌から振り払うのには、相当の時間が必要になるだろう。

 事件を調査するジェレミー・レナーの所作に見入る。この土地に閉じ込められ、かつそれを受け入れて生きる彼は、寒さが支配する空間、何をすべきかを分かっている。手際良く、無駄なく、捜査を進める「ハンター」。その上彼は、過去に大きな傷を抱えていて、時折小動物のような表情を見せるのだ。

 ただ、ちょっと画になり過ぎているかもしれない。口数は少なく、滅多に笑わず、けれど思いやりはあり、いざとなると頼りになる。こういう男に惚れずしてどうすると言いたくなる佇まいが、華美なものが極力削ぎ落とされた大地の上では、浮き上がってしまう。弓なんて出てこないのに、「ホークアイ」を思い出すことさえある。

 浮くと言えば、FBI捜査官を演じるエリザベス・オルセンもそうだ。下手な女優ではないし、スター気質が前面に出るタイプでもない。ゆえに話を壊すことはないものの、単調に見える危険を秘めた白い画面の彩り要員に見えなくもない。レナー単独の捜査に絞った方が、見えてくる闇は深くなったのではないか。





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