マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)

マイヤーウィッツ家の人々(改訂版) “The Meyerowitz Stories (New and Selected)”

監督:ノア・バームバック

出演:アダム・サンドラー、ベン・スティラー、エリザベス・マーヴェル、
   ダスティン・ホフマン、エマ・トンプソン、グレイス・ヴァン・パタン、
   キャンディス・バーゲン、レベッカ・ミラー、ジャド・ハーシュ
   アダム・ドライヴァー、シガーニー・ウィーヴァー

評価:★★★




 家族を取り上げた大抵の映画は、機能不全の実態を探り、度重なる彼らの衝突で盛り上げたところで、家族の大切さに決着する。『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』にその類の甘さは見当たらない。家族特有の愛情と同時に、憎しみも大きくせり上がる。それもそのはず、手掛けたのはノア・バームバックだ。簡単な感動など断固拒否する。

 …とは言っても、以前より大分その辛辣さは影を潜める。もちろんバームバック独特のドライで鋭利なひりひりした人生観も顔を出すものの、そればかりではない。衝突の衝撃の残骸を眺めるだけでなく、それを片付けた後に咲く小さな花も見過ごされない。その花は過剰に大切にされることはないものの、簡単に枯れることもない。

 主人公家族の物語を転がす燃料となるのは父親だ。彫刻家として生きてきた父親は、ほとんど傲慢と言って良い態度により、子どもたちのみならず、世間一般の人々を振り回す。近寄りたくはないそんな人物にも、ダスティン・ホフマンの手にかかれば、憎めないチャームも浮上する。バームバックは父親の不機嫌の理由を分析する。もちろん笑い飛ばしながら、だ。

 エリザベス・マーヴェル、アダム・サンドラー、そしてベン・スティラー演じる姉兄弟たちは父親の下に集まっては心をざわつかせる。父親との掛け合いの中に、今の自分が置かれている状況を見つけ出し、それぞれの人生、どこに向かえば良いのか一向に答えが出ないままに、また歩み出す。この姉兄弟たちが醸し出す距離感が大変デリケートで、サスペンスすら感じさせる。

 とりわけサンドラーとスティラーの掛け合いにグッと身を乗り出す。音楽家として挫折したサンドラーと、建築家として成功したスティラーが、わだかまりと向き合う様が生々しくも滑稽だ。兄弟ならではの煩わしさと、それでも感じる血の熱さが、取っ組み合いや共通の外敵への悪態に表れるあたり、バームバックの家族という形態に対する考え方、向き合い方が良く見えるのではないか。しょっぱくても、それが真実だ。

 大きなドラマは起こらない。家族や夢、成功と挫折、家や芸術といったテーマが浮かんでは消えていく。それはまるで、空に浮かぶ雲が形を変えていくのを眺めているかのようだ。バームバックは決して説教に走ることなく、人生の断片を織り上げる。セリフがやや多過ぎるし、映像的な遊びはもっと欲しいものの、それでもそれが作り出す心の水にできる波紋が愛しく思えるのだ。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ