クローズド・ガーデン

クローズド・ガーデン “Novitiate”

監督:マーガレット・ベッツ

出演:マーガレット・クアリー、ジュリアン・ニコルソン、メリッサ・レオ、
   ディアナ・アグロン、レベッカ・ダヤン、リアナ・リベラト

評価:★★★




 1960年代、第二ヴァチカン公会議に揺れるある修道院が描かれる。あぁ、宗教物かと敬遠したくなるものの、『クローズド・ガーデン』は信者にしか理解できないような論理構造で組み立てた映画ではない。特にカトリックを信仰していたわけでもないひとりの少女が修道女を目指す様をストーリーの軸に置き、教会の内部で起こる矛盾を突きつける。

 第二ヴァチカン公会議は、酷く乱暴に言えば、イエス・キリストの花嫁であり、彼との特別な結びつきを持つ「修道女」、彼女たちのステイタスを否定する内容に通じる。映画は、それゆえにそれぞれのシスターが本当に己が求めているものを直視せざるを得なくなる様子を観察する。なるほど「犠牲のないところに愛は存在しない」と信じる女たちに動揺が走るのも無理もない。彼女たちの心の海に小波が立つ感じが良く出ている。

 これは多分、己の信じるものとのせめぎ合い、ヴァチカンの新たなる宣言とのせめぎ合いという二重構造を的確に配置しているということだ。脚本が良く書けている。修道院内での厳しい戒律に揉まれながら、ヴァチカンの方針に戸惑いながら、少女たちがアイデンティティーの問題に直面する。

 少女たちの日常描写に見入る。神に人生を捧げたい。どの方向から入るにせよ、それだけは共通している少女たちが送り込まれる修道院には、様々な段階を踏むシステムがあり、その背後には常に修道院長(マザー)の目が光る。罪を告白し、長い髪を切り、鏡を割り、「沈黙」と「大沈黙」に翻弄され、鞭打ちを受け入れ…少女たちは常に忍耐を強いられ、献身を証明し、キリストへの情熱を途切れさせてはいけない。

 そこに作り手の、絶対的なものとして立ちはだかる信仰への疑念がちらつく。古い因習に囚われ、フェミニズムと逆行するような気配が立ち込め、どれだけ己を捧げても報われない不寛容が前面に出る。そしてそれがかえって少女たちの自我の目覚めに繋がるのが面白い。とりわけ主人公の少女が性の欲望と向き合う様は胸に残る。本当にここに価値あるものは存在するのか否か。

 ただ、物語を支えるのは、修道院長に扮したメリッサ・レオの演技だ。キリストに全てを捧げ、40年間も院から出たことがないという女の、時代から取り残された恐怖と哀れを、いつもとは違った優しい声色に封じ込める。穏やかに振る舞いながら冷気を走らせる妙演。レオを主人公にした別の物語が作れそうな厚みがある。





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