女と男の観覧車

女と男の観覧車 “Wonder Wheel”

監督:ウッディ・アレン

出演:ケイト・ウィンスレット、ジュノー・テンプル、ジム・ベルーシ、
   ジャスティン・ティンバーレイク、ジャック・ゴア、
   デヴィッド・クラムホルツ、マックス・カセラ、トニー・シリコ、
   スティーヴ・シリッパ、デビ・メイザー、トーマス・グイリー

評価:★★★




 ケイト・ウィンスレット演じるジニーはいきなり崖っぷちに立っている。1950年代コニーアイランド。女優になる夢は破れ、レストランでウェイトレスとして仕事に追われる日々。息子には放火癖があり、頭痛は鳴りやまない。再婚した夫はアル中で、所有する遊園地は寂れる一方、経営は芳しくない。ライフガードの青年との不倫は楽しいけれど、それもバレたらどうなるか。もちろんジニーはさらに追い込まれる。『女と男の観覧車』はウッディ・アレンが監督だ。

 アレンは今も昔も、人生を喜劇として見ている人だけれど、悲劇の中にも笑いを忘れない人だ。…と言うか、喜劇を形作る養分のひとつとして、悲劇の存在を見ているか。メロドラマ仕立ての物語は、人の生死まで絡んだ悲劇だ。アレンはそれでも登場人物たちを笑い飛ばす。誰も彼も堕ちていくけれど、とりわけヒロインの堕ちっぷり!

 ジニーが「幸せな不倫」のピンチに気づくのは、突如現れた夫の若い娘が青年に好意を持っていることを知ってからだ。あからさまに表情が曇るのが可笑しく、けれどそのときをスタートラインに、止せば良いのに、負けてなるものかと押して押しての捨て身に走る。嫉妬ほどみっともなく人を狂わせるものはない。

 後半に入るともはや、ジニーの暴走は誰の手にも負えなくなる。アレンは彼女を笑いながら、同時にそこに人生の諸行無常、ものの哀れを見つけている。そこでウィンスレットだ。ほとんど近寄りたくない、怖い女と化すジニーの、滑稽味と哀愁をミックスする技を見せる。どすこいな腰回りの説得たるや…。はっきりと圧巻。

 クライマックスは往年の名画へのオマージュだろう。遂にプッツンした独白場面がある。「女優の仕事」への久々の「復帰」。青年の前で思いのたけをぶちまける様、ジニーの、その複雑怪奇な佇まいよ。この際、照明が凝っているのも注目だ。

 いかにもアレン映画らしい天使のような笑みを見せるジュノー・テンプル他、キャストは皆好演(ジャスティン・ティンバーレイクのオッサン化には軽く戸惑う)。ヴィットリオ・ストラーロの撮影もコニーアイランドの空気を気持ち良く(かつ寂しく)撮り上げている。効果的だったのはジニーの息子が幾度となく燃え上がらせる炎のショットだ。覗き込んだらジニーの顔が見えそうじゃないか?ほくそ笑むアレンの顔が浮かぶ。





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