アラサー女子の恋愛事情

アラサー女子の恋愛事情 “Laggies”

監督:リン・シェルトン

出演:キーラ・ナイトレイ、クロエ・グレース・モレッツ、サム・ロックウェル、
   ケイトリン・デヴァー、ジェフ・ガーリン、エリー・ケンパー、
   マーク・ウェバー、ダニエル・ゾヴァット、グレッチェン・モル

評価:★★★




 学校を卒業して何年も経ち、30代が目前に迫る。父親の会社ではあるけれどアルバイトの仕事があり、学生時代からの恋人からはプロポーズ。おそらくこのまま流されて生きても不自由ない暮らしが待っている。けれど『アサラー女子の恋愛事情』のヒロインは、そんな生き方に今更ながら疑問を持つ。そう、これは自分探しの物語だ。

 自分探しをテーマに置いた映画には気をつけた方が良い。散々人生に迷った挙句、自分が進むべき道のヒントを獲得して満足するのが関の山。そんなのは物語にするまでもない。この映画のヒロインの自分探しも、そういう意味で特別なところは何もない。ただ、彼女の切実さに実感がこもっているので、ちょっとした人生の寄り道に付き合ってみたくなる。

 ここでいう実感とは、社会に出た友人たちがどんどん立派になり、結婚を考え、今までとは違うステージに上がっていくときの、自分だけが社会からうっすら切り離されたような、誰からも取り残されたような、漠然としたあの不安感のことだ。「別れが惜しいのは、誰が死にかけているときだけ」と冷めた気配で言ってのけるヒロインが、人知れず抱えるもやもやが意外なほど生々しい。

 キーラ・ナイトレイがこの役柄を手掛けるのは珍しい。落ち着いた物腰と知性でコスチューム劇に綺麗にハマるナイトレイが、デビューのときから変わらない豊かな表情を有効活用する。愚かな行動に走っても決してバカには見えず、でもその場を冷静に取り繕ってもどこか滑稽だ。仲間と一緒にいるときの居心地の悪さに真実味がある。

 そんなナイトレイが転がり込むのが、サム・ロックウェルとクロエ・グレース・モレッツが演じる父と娘の家庭だ。まず娘のモレッツと仲良くなり、続いて父のロックウェルとの間に恋愛感情を抱く。これがチープな関係に映らないのは、モレッツが過去の、ロックウェルが未来の象徴として機能しているからだ。モレッツとの関係に楽しかった学生時代を思い出しながら、けれどこれからの自分はロックウェルが生きる未来に向かわなければならない。それを説教臭くなることなく魅せる。3人の関係には、ある程度年の離れた人との付き合いがもたらす、新たなる価値観の重要性も滲んでいるだろう。

 セリフもなかなか面白い。例えばこんな恋人論。「若い頃は一緒にバカができれば、それでいい。歳を取ると、“バカなことの定義”が同じじゃないと上手く行かない」。小粋な苦みが静かに沁みる。そんなセリフの数々をちゃんと肌に馴染ませて伝えるナイトレイやロックウェルは、なかなかの好演と言える。ちなみにふたりのキスシーンはぎこちなさが本当っぽくて良い。どうでも良いか。





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