30年後の同窓会

30年後の同窓会 “Last Flag Flying”

監督:リチャード・リンクレイター

出演:スティーヴ・カレル、ブライアン・クランストン、
   ローレンス・フィッシュバーン、J・クィントン・ジョンソン、
   ユル・ヴァスケス、シシリー・タイソン

評価:★★




 名優が揃えられているし、監督がリチャード・リンクレイターだから、期待値が少々高くなり過ぎたか。『30年後の同窓会』はタッチに意図的な弛みが目立ち、情緒や繊細さという点が同じトーンで扱われるのが不満だ。「さらば冬のかもめ」(73年)と血縁関係にある小説を原作にしているというのも先入観を作った要因か。

 ただ、そうは言ってもリンクレイター、決して退屈させることはない。近年の作品群で「時間」というものに対して鋭い捌きを見せているけれど、この作品も例外ではない。初老と言って良い三人の男たちが30年ぶりに再会し、それにより空気を揺るがす様を切り取る。リンクレイターにうってつけの題材だったことは間違いないのだ。

 30年前と今(2003年)、リンクレイターはその空白を強引に密着させることには興味がない。そんな行為は時間への冒涜だと本能的に気づいているのではないか。代わりにリンクレイターがのめり込むのは、共通の濃厚な時間を持った者たちが抱える機微というものだ。忘れられない時間がもたらす、新たな時間。その細胞を探る。

 男たちはヴェトナム戦争に行った同志だ。現在テレビではイラク戦争について報じている。そして、三人の内ひとりは息子を戦場で亡くしたばかり。そう、リンクレイターは大きな時間がちっぽけな人間を包み込む様子を眺めながら、そこに喪失感を絡ませてみせる。国と個の関係にまつわる無情、それに対する怒りも少々。するとどうだ。時間の厚みの説得力が増し、その密度が高くなる。

 もちろん名優たちのアンサンブルの力も借りる。確信犯的緩さの演出と少々噛み合わない部分があるものの、自分の持ち場を的確に捉えるブライアン・クランストン、スティーヴ・カレル、そしてローレンス・フィッシュバーン。クランストンが攻めの演技で来るのが意外で、それをカレルが冷静に受け止め、フィッシュバーンが呆れながら(目を細めながら)見ている感じ。

 この三人の関係はパワーバランスをもっと揺さぶっても良かった。例えば、カレルの死んだ息子の戦友として登場するJ・クィントン・ジョンソンは新しい展開に持ち込めそうなところで、決まって後ろに引っ込んでしまうのがじれったい。三人が抱える過去の出来事も、さらに大胆に物語に組み込めたはずだ。「友情」だとか「絆」だとか、テーマが柔なそれにすり替わったように見えなくもないのは、リンクレイターならではの離れ業が見られないからではないか。





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