8月までに公開された作品の中でオスカーの可能性があるのは…? 2018

※この文章は、アカデミー賞専門サイト OSCAR PLANET のために書いたものの転載になります[先行公開]。




 このところアカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーの迷走が目に余ります。先日「ポピュラー映画賞の新設」「複数部門のライヴ発表の回避」が非難の的になりましたが、それ以外にも、近年大量かつ強引に会員数を増やしているのも、そう言えるのではないでしょうか。それぞれの問題点をここで挙げると長くなるのでやめておきますが、世間の目に対する過剰な意識は明白です。

 アカデミーが近年苦悩しているのは視聴率問題でしょう。年を追う毎に数字が落ちてきているのです。その原因としてよく言われるのが、人気映画が候補に挙がっていないため…というものですが、本当にそうでしょうか。それよりも社会がインターネットの虜になっていることの方がよっぽど大きいでしょう。映画が絶対的な娯楽の王様でなくなった今という時代、これからも視聴者数はどんどん落ちていくに違いありません。時代の流れとはそういうものです。

 百歩譲って、仮にそれが事実だったとしましょう。アカデミー会員の嗜好と世間の嗜好がずれている。視聴率の下降はそれが原因だとします。でも、だからと言って、その差を無理矢理埋める必要はあるでしょうか。そして視聴率を強引に上げる必要があるでしょうか(ビジネスとしてそれを考えなければならない人がいるのは、また別の問題として)。アカデミー賞は、優れた映画を讃えるものです。もちろん同賞が選んだ作品が絶対的に優れているとは言い切れませんが、少なくとも確固たる実績を持つ会員たちにより民主的に選ばれることは間違いないはずです(いや、間違いないはずでした)。アカデミーがやろうとしていることは、それに歪みを生じさせることのように思えてならないのです。

 ポピュラー映画賞の新設はルールによっては公平性を欠くことになるでしょう。他部門への影響も少なくないはずです。複数部門がCMの間に発表されることになれば、不公平かつその部門の軽視と取られて仕方ありません。多様性を意識するあまり、実績に欠けた映画人を会員として大量に招くことは、賞そのものの権威を失墜させるでしょう。アカデミーはそれに気づいていません。いや、気づかないふりをしています。

 アカデミーがやるべきは、優れた映画を伝えていくこと。新たなる優れた映画を生み出すべく、業界を支援していくこと。賞の授与はそのカンフル剤に過ぎない。それさえ見誤らなければ良い。外野が何を言おうと、それだけは守らなければならない。そしてその先に本物の改革があるべきです(多様性云々、男女差云々は決して避けては通れない重要課題です)。アカデミーが迷走をどう軌道修正していくのか、見守りたいところです。

 ところで、今年はここまでどんな作品が支持されたのでしょうか。今回は第91回アカデミー賞(主要6部門)が9月上旬に開かれたとしたらどうなるか考えてみました。対象は今年の1月から8月までに公開された作品となります。対象期間が短いので、作品賞は5作品を選びました。もちろん違う意見の方も多いでしょうが、それほど大差ないはずです。あぁ、でもポピュラー映画賞が作られるとなると、こちらに顔を出すのが難しくなる映画も出てくるでしょう。




◆作品賞
ブラック・パンサー(ライアン・クーグラー監督)*
BlacKkKlansman(スパイク・リー監督)*
クレイジー・リッチ!(ジョン・M・チュウ監督)
Eighth Grade(ボー・バーナム監督)
インクレディブル・ファミリー(ブラッド・バード監督)

◆監督賞
アリ・アスター(ヘレディタリー 継承)
ライアン・クーグラー(ブラック・パンサー)
ジョン・クラシンスキー(クワイエット・プレイス)
スパイク・リー(BlacKkKlansman)*
クリストファー・マックァリー(ミッション:インポッシブル フォールアウト)

◆主演男優賞
チャドウィック・ボウズマン(ブラック・パンサー)
イーサン・ホーク(First Reformed)*
ホアキン・フェニックス(Don't Worry, He Won't Get Far on Foot)
ラキース・スタンフィールド(Sorry to Bother You)
ジョン・デヴィッド・ワシントン(BlacKkKlansman)*

◆主演女優賞
エミリー・ブラント(クワイエット・プレイス)
トニ・コレット(ヘレディタリー 継承)*
グレン・クローズ(The Wife)*
ミシェル・ファイファー(Where Is Kyra?)
シャーリズ・セロン(タリーと私の秘密の時間)

◆助演男優賞
アダム・ドライヴァー(BlacKkKlansman)*
ベン・フォスター(Leave No Trace)
ジョナ・ヒル(Don't Worry, He Won't Get Far on Foot)
マイケル・B・ジョーダン(ブラック・パンサー)
ジョナサン・プライス(The Wife)

◆助演女優賞
マッケンジー・デイヴィス(タリーと私の秘密の時間)
ダナイ・グリラ(ブラック・パンサー)
カシー・クレモンズ(Hearts Beat Loud)
アマンダ・セイフライド(First Reformed)
ミシェル・ヨー(クレイジー・リッチ!)




 作品賞と監督賞は通常重なることが多いのですが、今回は2作品しかW予想はありません。娯楽作で注目作が多く、色々考えた末の結果です。まあ、現実的に考えて、オスカー作品賞候補の可能性が高いのは『ブラックパンサー』『BlacKkKlansman』『クレイジー・リッチ!』に絞られるでしょう。この内、『ブラックパンサー』と『クレイジー・リッチ!』はどちらも大凡オスカー好みではありません。大ヒットや話題性を武器にオスカーで浮上できるでしょうか。それともポピュラー映画賞に票が流れてしまうでしょうか。演技部門では主演女優賞が混戦。『Eighth Grade』のエルシー・フィッシャーや『Leave No Trace』のトーマサイン・マッケンジーら知名度の低い若手も選びたかったのですが…。

 さて、この中から誰が勝ち抜けるでしょうか(* はその可能性が低くないコンテンダーです)。





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