ウォール・ストリート

ウォール・ストリート “Wall Street: Money Never Sleeps”

監督:オリヴァー・ストーン

出演:シャイア・ラブーフ、マイケル・ダグラス、キャリー・マリガン、
   ジョシュ・ブローリン、スーザン・サランドン、イーライ・ウォラック、
   フランク・ランジェラ、オースティン・ペンドルトン、チャーリー・シーン

評価:★★




 ゴードン・ゲッコーが遂に金融界に帰ってきた!…と聞かされても全然興奮しないのは、極少数の人間なのだろうか。前作「ウォール街」(87年)が好きではないからか。舞台と題材に興味が持てない上、監督が天敵オリヴァー・ストーンだ。欲に塗れた人間を外見も内面も舐めるようにして映し出し、下品なまでに煌びやかなことを強調する。そしてゲッコーは言い放つ。「欲は善だ(Greed is right)」。神経を逆撫ですることに全力を注ぎ、普段なら嬉しいはずの街の音までもが癇に障る。

 これはもう、作り手の狙い通りなのだろう。「こういうのを受け入れる必要がある社会であり、そうでなければ蹴落とされていくしかない」…とストーンは物語の裏側で舌を出して笑っている。そういう計算が透けて見えてくると、さすがに付き合ってられなくなるものだ。刑務所で8年間を過ごしたゲッコーは、そこで学んだことがあると言う。「金よりも大切なものがある。時間だ」。嘘こけー。なんと説得力のない言葉。案の定懲りないゲッコーは、『ウォール・ストリート』では所謂助演ながら、美味しいところは総取り。結局最後も自分が持っていく。

 ただ、マイケル・ダグラスが、ゲッコーのような俗物(とは言い切れない怪物的側面もあるけれど)役にピッタリなのは、紛れもない事実だ。ダグラスに似合うのは今も昔も、女と金、これである。普通にしていても目がギラギラとした野心に溢れ、仕事の利益追求のためには手段は選ばず、家に帰ればイイオンナを抱いて一晩中でも腰を振る。欲望の塊のような役柄で突進してくるような迫力を具えている。大分老いた。それでもまだ枯れてはいない。相も変わらず欲望の趣くままに突っ走る。良い風に見られたいなんて全く思われていない。その様がいっそ潔い。だからこそストーンもダグラスを起用したはずで、配役としては完璧だ。ただ、作品への向き合い方という点に違和感があるゆえに、手放しで認めたい気分にならないだけ。

 マネーゲーム的な面白さはほとんど感じられない。ジョシュ・ブローリンを新たなる敵として担ぎ出して、不況に喘ぐ金融界での駆け引きを描こうとはしているものの、ストーンにしては魅せ方が淡白で、あっさりしたもの。心にフックしない。それよりもゲッコーの父娘問題に焦点を当てているのが印象的で、このあたりストーンも丸くなってきたか。ホッとするけれど、ゲッコー好きは複雑なところだろう。

 シリーズ初参加となるのはシャイア・ラブーフとキャリー・マリガンで、ふたりとも奮闘している。特にマリガンには感心する。表情の変化に緩急がついていて、しかもスピード感があるから、眺めているだけでとても気持ちが良いのだ。心がこもっている演技で、なおかつベタベタせず、つまり爽やか。依然活きの良さをキープしているラブーフとのケミストリーも悪くない。

 ところで、「ウォール街」から23年ぶりに続編が作られたのはもちろん、世界を襲った金融不況の影響だろう。今更ではあるけれど、今でもゲッコーはカリスマ的人物。彼を蘇らせて、一稼ぎするのも悪くないだろう。ハリウッド映画制作の裏側にある思惑が、題材とフィットするのが皮肉と言うか何と言うか。





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