ワンダー・ウーマンとマーストン教授の秘密

ワンダー・ウーマンとマーストン教授の秘密 “Professor Marston and the Wonder Women”

監督:アンジェラ・ロビンソン

出演:ルーク・エヴァンス、レベッカ・ホール、ベラ・ヒースコート、
   JJ・フィールド、オリヴァー・プラット、コニー・ブリットン

評価:★★★




 傑作映画「ワンダーウーマン」(17年)の原作を手掛けたウィリアム・モールトン・マーストン教授が主人公だという。そしてワンダーウーマン誕生秘話も出てくるという。…となると、すくすく伸びやかで健康的な人間関係や愛の形が描かれるのではないかと想像するのだけれど、それをあっさり裏切る物語だ。ただし、良い方向に。

 物語は1928年から始まる。嘘発見器の発明に熱心なマーストン教授と彼をサポートするその妻エリザベス。そこに彼らの助手となるオリーヴという名の学生が入り込むことで関係が複雑になる。簡単に三角関係などという言葉では説明できない。愛し合うのは教授とオリーヴだけではない。エリザベスもまた、オリーヴに惹かれ、その愛にオリーヴも応えるのだから。

 …と書けば、淫らな想像をするかもしれない。不潔に思うかもしれない。けれど、そのトライアングルはそんな陳腐な言葉を寄せつけない。むしろ何にも縛られない進歩的で自由な生き方、その風を感じさせる。各々が思うがままに愛し愛される関係で、これが彼らにとっては自然なこと。彼らの選ぶ道をジャッジすることのない作り手が、それに共鳴していることは明白で、これが実に気持ち良い。

 もちろんワンダーウーマンの物語とリンクする面白味もたっぷりある。「男女のことは分かりません」と本気で言ってのけるオリーヴの無垢と初心(うぶ)。時代に困惑しながらも背筋を凛と伸ばして自分の道を行くエリザベス。愛し合うふたりの姿にワンダーウーマンの輝きを見つけるのはもちろんのこと、SMやポルノから不敵なヴィジュアルヒントが見えてくるというトリヴィアルなエピソードも。セクシュアルな要素が問題視されるという時代背景も、今となってはワンダーウーマンの魅力の養分になる。けれど、最も感激するのは、ワンダーウーマンの造形の根底に心理学の要素が流れていることだ。

 役者が皆、楽しそうに実在の人物を演じている。特に女優ふたりが良い。エリザベス役のレベッカ・ホールは相変わらず普通にしていても、妙にいやらしい気配。オリーヴ役のべラ・ヒースコートはあばれる君的輪郭こそ気になるものの、意外なほど大胆な役柄の一面との相乗効果で、どんどん美しくなっていく。ふたりが心を通わせる場面がクライマックスになるのは必然の流れだ。教授役のルーク・エヴァンスもふたりを上手に接着させる。

 終始気軽に愉快に見られるものの、ひとつだけ引っ掛かるのは、果たして「ワンダーウーマン」を知らなくても楽しめる話なのか、という点だ。映画の製作で格段に知名度を上げた「ワンダーウーマン」だけれど、そちらを知らないと、少々唐突に思える部分もあるかもしれない。まあ、窮屈な時代の空気を突っ切り、自分たちの生き方を貫く彼らの姿こそが命だから、それでも良いのか。彼らを眺めるだけで気分が良いのは間違いないのだ。





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