モリーズ・ゲーム

モリーズ・ゲーム “Molly's Game”

監督:アーロン・ソーキン

出演:ジェシカ・チャステイン、イドリス・エルバ、ケヴィン・コスナー、
   マイケル・セラ、ジェレミー・ストロング、クリス・オダウド、
   ビル・キャンプ、サマンサ・イズラー、パイパー・ハウエル

評価:★★★




 例えば「アイ,トーニャ 史上最悪のスキャンダル」(17年)がトーニャ・ハーディングのイメージを大きく変えたように、『モリーズ・ゲーム』はモリー・ブルームのそれをこれまでとは全く異なるものにする。ブルームと言ったら、高級ポーカールームの違法経営で逮捕された人物としてお馴染みだけれど、映画はそれだけでは彼女の表面的な部分しか見てないことになると訴える。

 ベースとなるのはブルーム自身による回顧録で、でもだからと言って、自己弁護や自己愛が錯乱するストーリーにはなっていない。元モーグルのトップアスリートで、ハーバード大学に入るほどの優れた頭脳の持ち主。その彼女が何故ポーカーの世界に足を踏み入れたのか。法を犯した部分を正直に見つめつつ、ブルームがブルームである所以を解き明かす脚本が素晴らしい。

 ブルームが弁護士と共に裁判に向かう物語と、ポーカーの世界での栄光と転落の物語が、交互に描かれる。世界中のトップセレブリティが彼女に部屋に集まった、その理由が見えてくる。吸引力となるものの中心に「信頼」を置いたのが格好良い。彼女は顧客との適切な距離を抜群の嗅覚で嗅ぎ取り、部屋を快適と安心で満たす。それは彼女の真っ直ぐなパーソナリティと直結するものだった。

 イドリス・エルバが頼もしく演じる弁護士との関係は、同様にブルームが具えるインディペンデントな強さを接着剤に、大層強力なものになる。弁護士との間に流れるものに宿るサスペンスは大きな見どころのひとつだ。格好良い女には格好良い男が似合う。めくるめくポーカー関連場面に対して弁護士との掛け合いがじっくり描かれるのも良い按排だ。

 そう、ブルームがポーカールームに身を投じる場面は高速で描かれる。数年を収めるのだから当然なのだけど、これがダイジェスト風に端折っているようには一切見えない。そもそもブルームの喋りが早く、ユーモアと知性に裏打ちされたセリフが洪水のごとく出てくる。ここに頭良い人の気持ち良さがあり、その魅力を見事に捉えるジェシカ・チャステインはやっぱり大した女優だ。栗色の髪の毛とセクシーな衣装で外見を飾るのも嬉しい。前のめりの語り口の中、内からも外からも女神として美しく輝く。

 さて、ブルームの半生に大きな影響を与えた人物として父親の存在が挙げられている。ケヴィン・コスナーに父を演じさせているように、極めて重要な意味が見出されているものの、実はこの部分だけが引っ掛かる。颯爽と男たちが牛耳る世界を突っ切る彼女の背後に父親の影がちらつくことで、家族問題特有の湿っぽさと複雑さの沼に足を取られてしまい、話の速度があからさまに鈍るのだ。顧客の秘密を最後まで守ったように、ブルームなら父親との確執もずっと胸に秘めたままで終わらせるのが美学というものじゃないかと思うのだけれど、どうだろう。





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