フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 “The Florida Project”

監督:ショーン・ベイカー

出演:ブルックリン・プリンス、ブリア・ヴィネイト、ウィレム・デフォー、
   ヴァレリア・コット、クリストファー・リヴェラ、エイデン・マリック、
   メラ・マーダー、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ

評価:★★★★




 フロリダのディズニーワールド…と来れば、異論は多々あろうけれど、一応は夢と希望溢れるこの世の楽園だ。『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』はその楽園…のすぐ傍ら、安モーテルが立ち並ぶ一帯を舞台にする。宿泊客は行く当てのない隠れホームレスたちだ。6歳の少女ムーニーはそこで、無職の母とその日暮らしだ。さぞかし暗い話になるだろう。

 …という予想は痛快に裏切られる。もちろん積極的に飛び込みたい暮らしが描かれるわけではない。けれどショーン・ベイカー監督は、正直にアメリカの今を映しながら、そこで躍動する命の逞しさを見逃さない。季節は夏。肌に優しくない日差しを浴びながら、その日食べるものに困りながら、それでも何だかそこには、子どもの頃ワクワクした、夏休み特有の高揚感で一杯だ。

 それはもちろん、主人公を子どもにしたことが大きい。それも子どもは子どもでも悪ガキ、いやクソガキだ。ディズニーワールドに遊びに行くことはできなくても、モーテルやその周辺には楽しいことがてんこ盛り。そうだった。玩具なんかなくても、遠くに出かけられなくても、子どもの世界では全てが冒険になる。ムーニーは大人たちに怯むことなくやりたい放題。だって隣には大好きで楽しい友達がいるんだから。

 このムーニーを演じるブルックリン・プリンスが、とにかく良い面構えの少女なのだ。真ん丸の輪郭に、意志的な目。時折「大人が泣くときが分かるんだ(I can always tell when adults are about to cry.)」なんてドキリとすることを言いながら、夏休みの彼女なりの充実に変えていく。だらしない母親やほとんど父親代わりのようなモーテルの管理人(ウィレム・デフォーが厳しさと温かさを同居させる名演)の動向を伺いながら、でも基本はいたずら三昧。でも子どもはこうでなくっちゃ。

 モーテルが良い味だ。この映画は暗い現実につきまとわれる割にパステルカラーで満たされるのがヴィジュアルの妙味なのだけど、そもそもモーテルの色がライラックカラーで、強烈なインパクトだ。ライラックは綺麗だけれど、それに一面囲まれると毎晩悪夢は免れない毒々しさで、でもそれがムーニーの世界では魔法の色なのだ。しかもモーテルの名前がマジックキャッスルで、その管理人がデフォーだなんて、イッツ・パーフェクト、というものだ。

 さて、物語の後半になると、ムーニーのパーフェクトワールドが崩れ始める。そう、どんな夢も永遠には続かない。生意気盛りでもまだ大人になるには早いムーニーが追い込まれる状況が切ない。でも魔法はまだ切れてはいなかった。そんなことを信じさせるラストシーン。ムーニーはきっと、これからも自分を見失わない。





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