君の名前で僕を呼んで

君の名前で僕を呼んで “Call Me by Your Name”

監督:ルカ・グァダニーノ

出演:ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマー、マイケル・スタルバーグ、
   アミラ・カサール、エステール・ガレル、ヴィクトワール・デュボワ

評価:★★★




 緑溢れる北イタリアの田舎町。降り注ぐ透明の陽射し。開放的な空気。日陰に通る優しい風。広々として、かつ情緒ある邸宅。『君の名前で僕を呼んで』はもう、恋が始まる舞台として出来過ぎだ。時は1981年夏。恋を邪魔するハイテク機器は積極的に排除され、代わりにボール遊びやプール、自転車で戯れる。周到だ。

 しかも監督はルカ・グァダニーノ。美しい画作りに定評がある。案の定、アメリカ青年が邸に到着する冒頭から、目に色がくっきり焼きつく画がてんこ盛り。セリフやエピソードに文学臭の強い脚本もあり、芸術の気配が色濃く漂っている。

 …なんて書くと手放しで褒めているようだけれど、実はこれはかなり際どいところではないか。物語の軸に置かれるのは典型的なひと夏のラヴストーリーだし、そこに美しい画面がせり出すのだ。綺麗だけれど、退屈なポストカードになってもおかしくない。

 そこでグァダニーノは知恵を絞る。この恋に血を通わせるにはどうしたら良いか。そうしてグァダニーノは、イタリアの光とそこに被さる音符を共鳴させる技を繰り出す。闇雲な美ではなく、時間の流れを意識した陽の熱を捉え、そこにピアノの音を乗せることで、画の脈拍を自在に操るのだ。物語そのものの息遣いを捕まえる。

 ただ、それだけでは足りない。そこで用意されるのがティモシー・シャラメとアーミー・ハマーの肉体だ。ひょろひょろで頼りないシャラメと、若々しく生命力漲るハマー。17歳と24歳の肉体をそこに放り込み、物語の呼吸に立体性を持たせる。ショートパンツから覗く四本の脚。髭を拒む張りのある肌。淡い色やボーダーがプリントされたシャツの数々。シャラメとハマーが交わす視線が、実に瑞々しく、艶めかしい。

 シャラメとハマーが絵に描いたような絵画の世界を突き破る事実は大いに讃えられなければならない。グァダニーノのもしかしたら数少ない弱点かもしれない「設計」が過ぎた画面を、ふたりの肉体が揺さぶりをかけることで多少の歪さが生まれ、かえって本物らしく見せるのだから。狙い過ぎたセリフも道を決してはみ出さない行儀良さも、肉体の躍動がそれを支えることで、真実味を獲得する。シャラメとハマーのケミストリーは完璧だったのだ。





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