セリーナ 炎の女

セリーナ 炎の女 “Serena”

監督:スザンネ・ビア

出演:ジェニファー・ローレンス、ブラッドリー・クーパー、
   リス・エヴァンス、トビー・ジョーンズ、ダーヴィッド・デンシック、
   ショーン・ハリス、アナ・ウラル

評価:★★




 大恐慌時代のアメリカ、ノースカロライナを舞台にした物語だ。ジェニファー・ローレンスがこの時代の雰囲気をたっぷり纏うのがいちばんの見どころ。眩いばかりのブロンド。毛先を巻いたヘアスタイル。目回りと眉、唇にポイントを置いたメイク。ブルーやグリーンの淡い色を中心にしたドレス。馬に乗るわ、鷲を操るわ、ブラッドリー・クーパーと恋に落ちるわ…と思わず見入るローレンスがてんこ盛り。

 『セリーナ 炎の女』の世界は全てローレンスのためにある。スザンネ・ビアはそう考えたに違いなく、ローレンス初登場場面はスローモーション。音楽が軽快に鳴り出し、自然がたっぷり残る山奥の景色もローレンスを引き立てる。どこからか精霊が見守っていそうな気配も彼女に味方する。終わってみれば、ひとりの女の出現で運命を狂わせるバカな男の話なのだけど、目に焼きつくのは断然女、ローレンスだ。

 作り手はおそらくローレンス演じるセリーナを「風と共に去りぬ」(39年)のスカーレット・オハラに似た性質を持つ女として見ている。家事で家族を失い、製材所を営む男と恋に落ち、瞬く間に結婚し、仕事で才能を見せ、子どもを授かり、しかし流産し、いつしか心を病んでいく。ドラマティックなその人生にダイナミズムを透かす。けれど、その狙いが上手くハマったのは前半のみ。後半は単なる怖い女と化す。ローレンスの力を持ってしても。

 ローレンスはクーパーに言う。「出会って恋に落ちた瞬間、私たちの過去は消えた」。こんな格好良いセリフが似合う女はどこかに消え去り、残ったのはスカーレット・オハラと言うよりは、「危険な情事」(87年)のアレックス・フォレスト、或いは「ゆりかごを揺らす手」(92年)のペイトン・フランダースと血縁関係にある狂気の女だ。

 いや、それならばそれで良い。恐ろしいローレンスを楽しめば良いのだから。ところが、明らかに狂っていくローレンスは、クライマックス、クーパーの運命がいよいよ決まるというときには、何と全く姿を見せないのだ。あくまでアクションを起こすのは違う人間だ。頓珍漢な事態と言える。

 割りを食ったのはクーパーか。どちらかと言うと、彼の方が主演なのだけれど、ローレンスに喰われ続けるばかりか、善人の部分も悪人の部分も極めて中途半端。観る側が肩入れし難い人物で終わる。彼に起こる終幕の悲劇に対して同情の一切を抱かせないのがその証拠だ。せめてローレンスとクーパーが一騎打ちを見せる場面をもっとゴージャスに装飾して欲しかったところだ。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ