ワンダーストラック

ワンダーストラック “Wonderstruck”

監督:トッド・ヘインズ

出演:オークス・フェグリー、ミリセント・シモンズ、
   ジュリアン・ムーア、ミシェル・ウィリアムス、ジェイデン・マイケル、
   トム・ヌーナン、コーリー・マイケル・スミス

評価:★★




 1927年ニュージャージーに住む聾唖の少女。1977年ミネソタの母を亡くし耳が聞こえなくなったばかりの少年。このふたりの物語が同時進行で綴られる。ミソは少女の世界がサイレントで描かれるところだろうか。色々想像を巡らせる世界が、意外な表情を見せる。

 けれど『ワンダーストラック』の物語を俯瞰で見渡したときに思うのは、これはどのあたりがワンダーだったのだろうという身も蓋もない落胆だったりする。少年と少女は性別も生きる時代も境遇も違っていて、けれどどこか似たような歩みを見せる。そのシンクロとふたりの人生が重なる瞬間に想いを馳せるべきなのだろうか。アイデンティティーにまつわる過剰な美化がちらつくのは、大いに厳しい。

 トッド・ヘインズは抑圧された自我の解放を好んで描いてきた人だ。ジェンダーや社会的地位に縛られた者たちの魂の解放に拘る。それが、この物語のどのあたりに共鳴したのか。ここでヘインズが羽ばたかせるのは命の孤独というヤツで、でもそれが話の弱さも手伝って、ちっとも胸に迫らないのだ。

 そもそもヘインズは映画の技という点でも、これまでよりも反応が鈍い。第一に時代を飛び越える語り口。まるでテレンス・マリック映画的にめくるめく世界観を構築しようとして、単に観辛いだけの画の羅列に終わる哀しさよ。編集が粗雑で、強引な時の交錯が、意識しているだろう話の流れを無惨に断ち切ってしまう。

 第二にサイレントの使用法。少女の設定と時代に合わせてモノクロのサイレント映画風に撮った画面が、全然色っぽくない。時代の区別を明確にする以外の効果が感じられない。少年の聴覚を奪うのも、話のスピードにブレーキをかける。音への気配りがマイナスに動く。

 それにしても、ついにふたつの時代が重なるときの肩透かしは何なのだ。大急ぎでナレーションで語られる50年という年月。映像で見られなかった部分が完全なるオマケ扱い。いくら感動を煽ろうと、あまりにイージーな接着ではないか。ジュリアン・ムーアが出てこなかったら、どうなっていたかと思うと恐ろしい。





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