トレイン・ミッション

トレイン・ミッション “The Commuter”

監督:ジャウマ・コレット=セラ

出演:リーアム・ニーソン、ヴェラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソン、
   ジョナサン・バンクス、エリザベス・マクガヴァン、
   フローレンス・ピュー、サム・ニール

評価:★★★




 ジャウマ・コレット=セラをアルフレッド・ヒッチコックと比較するのはあまりにも無謀というものだけれど、「リーアム・ニーソン映画」の作り方という点においては、もしかしたら本当にヒッチコック以上かもしれない。アクションスターに目覚めたニーソンを最大限輝かせるためにはどうしたら良いか。コレット=セラは知り抜いている。

 「フライト・ゲーム」(14年)では飛行機内で大暴れしたニーソン。『トレイン・ミッション』では電車の中を疾走する。限定された空間、これはニーソンのアクションを語る上で、実は欠かせない要素だ。ニーソンはとにかく身体がデカく、狭い空間の中に投げ入れられると窮屈さが前面に出そうなものなのに、それどころか迫力が増すのが面白い。狭い場所では当然接近戦が多くなり、そうなるとやけに生き生きとするのがニーソンなのだ。

 ニーソン映画に小難しいことは要らない。大勢の乗客が乗る列車内で、ある人物を探すよう脅迫されたニーソンが、事件解決を目指す。基本プロットはこれだけで、この単純さをいかに効率的に盛り上げるかが重要になる。怪しい表情を見せる人々。一区間4分。どんどん降りていく乗客。どこからかの見張り。盗まれた携帯電話。かけられる疑惑。物語をどんどん進めながら、出し惜しみなくサスペンスを畳み掛ける。

 この際、縦に長い電車の構造が上手く活かされる。高速スピード。座席に掲げられる各々の行き先表示。床に用意された収納スペース。ドア以外に出入り可能な穴。空調コントロール。隣の車両の音が聞こえない空間。いよいよ狙われている人物が絞られてきたところで、列車を潔く止めてしまうのも偉い(ただし、停車場面は映画らしいど派手な画作りで可笑しい)。

 電車が止まってからは、思いがけずヒューマンな味が添えられる。「スピード」(94年)的に異常な状況下で繋がった乗客たちが、「スパイダーマン2」(04年)風に胸を熱くさせる。…と言っても物語の速度を落とすようなベタベタしたそれではなく(乗客の大半が無名役者で、人種が多様なのも良い)、あくまでニーソンの奮闘をサポートする役割に徹する。犯人が読めてしまうのは厳しいものの、直線的だった物語を上下に揺らすことで、刺激を強めることに成功している。

 つまりコレット=セラは職人なのだ。いかに映画ファンが観たいニーソンを飾り立てられるか、それに賭けている。そのために工夫は怠らないものの、同時に無駄な部分をどんどんカットしてもいるだろう。例えば、ニーソンが電車通勤する日常をオープニングの数分で畳み掛けるあたりなど、コレット=セラの特質が良く出ている。頭でっかちな美学に左右されない分、ゲーム的側面が強くなり、でもそれがニーソン映画では大いに有効なのだ。





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