レッド・スパロー

レッド・スパロー “Red Sparrow”

監督:フランシス・ローレンス

出演:ジェニファー・ローレンス、ジョエル・エドガートン、
   マティアス・スーナールツ、シャーロット・ランプリング、
   メアリー=ルイーズ・パーカー、ジェレミー・アイアンズ

評価:★★




 冷戦が終わって大分経つというのに、このところスパイ映画が百花繚乱。そこにジェニファー・ローレンスが殴り込む。強い女がもてはやされる時代もいよいよ到来。『レッド・スパロー』の登場は完璧なタイミングと言える。ところが、物語がどれだけ進んでも、想像していたような派手な画が全然出てこないのだ。おそらくそれを敢えて選んでいる。渋いと言うか地味と言うか。

 アクションが数えるほどしか出てこない。血が流れる場面があっても、興奮を引き出すよりも暴力性の強調に使われる。作戦が仕掛けられても、瞬発的なサスペンスに限られ、そこから広がっていくことがない。本物のスパイも実際は至って静かな仕事なのだろうと承知しつつ、誰が誰を出し抜くか、その駆け引きに終始するのがストレスを誘う。

 ではローレンス演じるドミニク、通称スパローの武器は何か。抜群の身体能力があるわけではない彼女は、ハニートラップ、色仕掛けを使うのだ。ローレンスのパーソナリティからするとあまり似合っているとは言えないものの、違和感を感じさせないほどには色気も隙もあるローレンス、そこに人間性まで滑り込ませて飽きさせないのはさすがと言えようか。

 物語はバレリーナ志望だったスパローがいかにしてスパイとして結果を残すか、スカウトの段階から描いている。これはアメコミヒーローが初登場するときによく見られる展開で、キャラクターをじっくり紹介するためには有効でも、なかなか話が展開しないという欠点も具えている。そしてこの映画は欠点の方が前面に出る。エピソードの切り上げもどん臭く、ちんたらしている印象だ。

 スパローはロシア出身だ。当然上司もロシア人になる。この大半をハリウッド俳優が演じるという違和感は想像以上だ。そもそもローレンスからしてロシア人には見えないし、英語ばかりが飛び交うのも気分を大いに削ぐ。ロシアのスパイの世界の冷酷さを炙り出す側面もあるため、反射的にアメリカ賛辞に見えなくもないのが気恥ずかしい。ロシア人でもないのにすんなり世界に溶け込んでいたのは、マティアス・スーナールツぐらいか。また、ローレンスの相手役となるジョエル・エドガートンは、身体も顔も締まりがなく、全くスパイの世界にハマらないという根本的な問題から逃れられない。完全なるミスキャストだ。

 おそらくリアリティと呼ばれるものを意識したがゆえの結果なのだろうけれど、せっかくローレンスを調達できたのだ。ここは派手な画作りのスター映画にする手もあったのではないか。ローレンスがバレエを見せるオープニング場面の赤い衣装。或いは初めてハニートラップを仕掛ける場面の真っ赤なドレス。どちらも見た目の楽しさが溢れている。せっかくタイトルにもあるのに、赤が強い力を発揮するのはこの2場面だけ。ローレンスが無邪気にスターパワーを発揮するのも、この2場面が最高。勿体ないことだ。





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