あなたの旅立ち、綴ります

あなたの旅立ち、綴ります “The Last Word”

監督:マーク・ペリントン

出演:シャーリー・マクレーン、アマンダ・セイフライド、アン・ヘッシュ、
   トーマス・サドスキー、フィリップ・ベイカー・ホール、
   トム・エヴェレット・スコット、アンジュエル・リー

評価:★★




 意外や(?)シャーリー・マクレーンは嫌な女を演じることが多い。どれだけ嫌われ者を演じようと、本人のカラッとした陽の個性が陰湿なそれに見せることを拒否、それどころかマイナス点が憎めないチャームに変換されるからだろう。マクレーンを物語に放り込めば、それだけで喜劇性が生まれるのだ。

 斯くして『あなたの旅立ち、綴ります』でもマクレーンは嫌な女だ。全てをコントロールしないと気が済まない彼女が、死ぬ前に自分の新聞訃報欄を書くことを思いつく。そうしてこき使われるのが、訃報欄専門ライターのアマンダ・セイフライドというわけだ。展開は予定調和。マクレーンは人生を振り返りながらセイフライドと衝突。互いに影響し合いながら、人生の終着点に向かっていく。誰がマクレーンに最高の言葉を贈るのかは言わずもがな。

 作り手は話が読めるという指摘を予め承知していたはずだ。その上でマクレーンの醸し出す喜劇性の奥深さに賭けたのではないか。訃報欄に良いことを載せるため、急に身寄りのない黒人少女の教育係になるわ、音楽の趣味を生かしてラジオDJになるわ、疎遠な娘との関係修復を試みるわ…。

 作り手が狙うのは偽善が本物になる瞬間だ。そのためには作為なく嫌われ者のまま真心を伝えられるマクレーンが必要だった。けち臭い女優、綺麗に撮られたいとだけ願う女優ではダメだ。マクレーンの顔のアップは多く、その度にお直しゼロのシワが大映しになる。この大らかさが武器になる。誤算はマクレーンが大柄でセイフライドが小柄のため、一緒に画面に入ると、見た目のミスマッチが原因で、やや笑いの速度が鈍るあたりか。

 セイフライドが実はエッセイストになりたいという設定は上手く機能していない。まだ自分というものを良く分かっていない役どころのため、マクレーンの強い個性に呑まれてしまうのだ。エッセイスト志望独特の訃報の言い回しもないのが寂しい。ただし、マクレーンに裸の心でぶつかる感じは良く出ている。

 マクレーンは「人間の形をした黒い雲」と言われる。実のところ、その人生を振り返ったとき、そんなに酷い女には到底見えない。インディペンデントなところが煙たがられただけ。次第に見えてくるその本質が、物語に生温さを浮上させるのが勿体ない。思い切って嫌な女の部分を強調して勝負した方が面白かったのではないか。





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