ハッピーエンド

ハッピーエンド “Happy End”

監督:ミヒャエル・ハネケ

出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、イザベル・ユペール、
   マチュー・カソヴィッツ、ファンティーヌ・アルデュアン、
   フランツ・ロゴフスキ、ローラ・ファーリデン、オレリア・プティ、
   トビー・ジョーンズ、ヒレ・ペルル、ハッサム・ガンシー

評価:★★




 近頃、フランスの港町カレーがやたら映画に出てくるのは気のせいだろうか。難民問題はもはや地球規模のそれで、とりわけ玄関口となる町では他人事では済まされないものがある。…と思ったら大間違いのミヒャエル・ハネケ監督作『ハッピーエンド』だ。

 カレーに住む主人公家族は中産階級に属すると呼べば良いのだろうか。彼らは難民問題なんかに見向きもしない。いや、この言い方は正確ではないか。「見向きもしない」だと問題には気づいていることになる。彼らは難民問題が目に入ってすらいないのだ。

 彼らは自分と無関係だとその匂いを嗅ぎ取るや否や、それを己の世界から追い出す術を本能的に獲得している。もし仮に問題が触れたとしても、そこに感情を乗っけることなどしない。あくまでも機械的に動く。その異様さよ。

 ブルジョワの彼らがその代わりに身を投げ込むのは、SNSだったりする。ハネケはパソコンやスマートフォンの画面で展開される会話を長々映し出す。彼らは世界から積極的に距離を取りながら、けれどその世界との繋がりの一切を断つことを恐れている。その矛盾をある者は受け入れ、またある者は拒否する。それゆえの揺れが画になるわけだ。

 ハネケはこの家族を凝視しながら、議論を引き起こすことを狙っている。いくら演出が達者でも、その計算が透けて見えるのは野暮だ。ハネケは物語性のある題材を手掛けた方が、断然その人間観が生きる人だ。この映画のように観察に徹して、解釈を観る者に投げ掛けたままだと、全てを外側から見つめる厭らしさばかりが前面に出る。高所から見下ろしているわけではないのは救いだが…。

 イザベル・ユペールやジャン=ルイ・トランティニャンらクセモノが集まる中、一際目を引くのは、ファンティーヌ・アルデュアンという少女女優だ。まだ幼い彼女の目が、常に「死」という概念につきまとわれている感じが良く出ているのだ。トランティニャンと身も蓋もないやりとりをしても、ひょいっとかわす若さゆえの身のこなしも面白い。彼女の視線に徹した展開にしても良かったかもしれない。





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