BEST10 & WORST10 2010 Vol.3

◆BEST ACTOR
 ニコラス・ケイジ(バッド・ルーテナント)
 コリン・ファース(シングルマン)
 ヴァンサン・ランドン(すべて彼女のために)
★サム・ロックウェル(月に囚われた男)
 ダニー・トレホ(マチェーテ)

 英国紳士の美しさを堪能させてくれたファースとメイクに頼ることなく二役を演じ分けたロックウェルで最後まで迷ったが、複雑さのヴァリエーションがより多彩だった後者をベストに推す。ハイテンション演技の中にユーモアを盛り込んだケイジ、妻を愛する想いを華麗に染め上げたランドン、悪人面を活かし切ったトレホも作品を大いに盛り上げた。特にトレホは生涯最高のハマり役。

◆BEST ACTRESS
 ゾーイ・デシャネル((500)日のサマー)
 メリッサ・レオ(フローズン・リバー)
★キャリー・マリガン(17歳の肖像)
 エレン・ペイジ(ローラーガールズ・ダイアリー)
 ミシェル・ファイファー(わたしの可愛い人 シェリ)

 スターが生まれる瞬間を目撃するのは本当に楽しい。凡人がもっていないキラメキで大きなスクリーンを自分のものにしてしまう幸福感。マリガンはそれを鮮やかに身にまとい、セリフを口にする度に、動きがつく度に、美しく着飾る度に、そのチャームを爆発させた。掴み所のないデシャネル、眼差しに力強さを湛えたレオ、溌剌さが愉快なペイジ、美しく年を重ねたファイファーもまた、素晴らしい。


◆BEST SUPPORTING ACTOR
★ザック・ガリフィアナキス(ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い)
 ジョセフ・ゴードン=レヴィット(インセプション)
 ウッディ・ハレルソン(ゾンビランド)
 ジュード・ロウ(シャーロック・ホームズ)
 ユアン・マクレガー(フィリップ、きみを愛してる!)

 ガリフィアナキスは大器である。笑いの起爆剤的な役割を果たしながら、同時にそこに留まることなく、更なる爆弾を次々に投下する。もちろん褒めている。ハレルソンの吹っ切れた暴走も彼には及ばず。ロウとマクレガー、ここ10数年英国映画界を引っ張ったふたりの新境地は頼もしく、ゴードン=レヴィットのあのレオナルド・ディカプリオを喰ってしまう美しい身体の動きも大いに見ものだった。


◆BEST SUPPORTING ACTRESS
 パトリシア・クラークソン(人生万歳!)
 エマニュエル・ドゥヴォス(クリスマス・ストーリー)
★アンヌ=マリー・ダフ(ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ)
 ジュリエット・ルイス(ローラーガールズ・ダイアリー)
 クリスティン・スコット=トーマス(ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ)

 『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』は主人公の「母」を演じたダフとスコット=トーマスこそが見ものだった。異なる立場から主人公を包み込む、その愛の形に胸を打たれる。両者共に見事な演技だったが、捻りのある哀しみをまとったダフを推したい。クラークソンの笑いの返し方、ドゥヴォスのホラー仕様の存在感、ルイスのエキセントリックな味もそれぞれに魅力的だった。


◆BEST BREAKTHROUGH ACTOR
 アーロン・ジョンソン(ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ)
★トム・ハーディ(インセプション)
 コディ・スミット=マクフィー(ザ・ロード)

 『インセプション』で最も見ものだったのはゴードン=レヴィットの動きの美しさだが、ハーディが醸し出すユーモアも愉快な気分を誘ってくれた。作品の規模に負けないスケール感があるがゆえ、その大らかな空気に包まれると妙に心地良いのだ。おそらく作品毎にガラリと雰囲気を変えるタイプ。大器の予感。


◆BEST BREAKTHROUGH ACTRESS
 クロエ・モレッツ(キック・アス)
 ノオミ・ラパス(ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女)
★エマ・ストーン(ゾンビランド)

 『ゾンビランド』はメインの男女4人のケミストリーが愉快な作品で、特にストーンとアビゲイル・ブレスリンの姉妹が画面に入ることで、奇妙なまでに空気が変わるのが面白い。気の強そうな眼差しなのにチャーミング。クセの強い共演俳優たちに負けない輝きで、コメディ女優として大いに期待ができるだろう。


2010年BEST10をふりかえって

1. ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い
2. 第9地区
3. (500)日のサマー
4. キック・アス
5. 月に囚われた男
6. 17歳の肖像
7. フローズン・リバー
8. 白いリボン
9. ゾンビランド
10. シングルマン

 前年に引き続きアメリカ映画が楽しかった。トップの『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』のような映画は、他国の優秀なクリエイターがどれだけ頑張っても、同じレヴェルに到達するのは難しいではないか。色々と衰退が囁かれるアメリカ映画界ではあるけれど、それでもまだ、強力な粘りを見せている。

 映画は独創的であれば良いというものではない。ないけれどしかし、それが強力な武器になるというのも事実だ。ベストに入った作品の大半は、それを感じるもの。特に『第9地区』のオリジナル性には興奮した。ただしこの映画、演出自体にはハリウッドが培ってきた王道の娯楽演出の影響が多々感じられる。アイデアを魅力的に魅せる基本的な術もまた、重要なのだろう。映画の遺産を正しく継承しているという意味でも、嬉しい気分になった。





◆WORST ACTOR
★ダニエル・デイ=ルイス(NINE)
 ジョニー・デップ(アリス・イン・ワンダーランド)
 ジュード・ロウ(レポゼッション・メン)
 トビー・マグワイア(マイ・ブラザー)
 ミッキー・ローク(アイアンマン2)

 まさかデイ=ルイスをワーストに選ぶ日が来ようとは…。役柄選びがどれだけ大切なことかを証明している。まるで弾まないミュージカルの中で、苦悩の表情を浮かべるだけだった彼からは、オスカー俳優の迫力や繊細さなど全く感じられず、それどころか哀れみが浮かび上がっていた。デップ、マグワイアは過剰演技が鼻につき、ロウ、ロークはマッチョな役作りが完全に滑っていた。


◆WORST ACTRESS
 ジェニファー・アニストン(バウンティー・ハンター)
 ルイーズ・ブルゴワン(アデル ファラオと復活の秘薬)
★マイリー・サイラス(ラスト・ソング)
 シャーリー・マクレーン(バレンタインデー)
 サラ・ジェシカ・パーカー(噂のモーガン夫妻)

 アイドルをバカにする気はない。むしろその存在を歓迎したい。ただし、昨今は過剰に騒がれることそのものを楽しんでいるに過ぎないそれが多い。周囲にも問題があるのだろうが、演技というものをちっとも理解していないサイラスには、身体の力が抜けてしまった。ますますイタいアニストン、素人にしか見えないブルゴワン、やる気の感じられないマクレーン、めっきり老け込んだパーカーも辛い。


2010年WORST10をふりかえって

1. バレンタインデー
2. セックス・アンド・ザ・シティ2
3. 食べて、祈って、恋をして
4. アリス・イン・ワンダーランド
5. アデル ファラオと復活の秘薬
6. トロン:レガシー
7. エクスペンダブルズ
8. 噂のモーガン夫妻
9. しあわせの隠れ場所
10. プレシャス

 映画で最も重要なものは何か。意見は様々だろうけれど、脚本の重要性はどうしたって無視できない。どれだけ演出が優れていても、例えば小学生が書いたそれを傑作に仕立て上げるのは難しい。ここに選ばれた作品の大半は、脚本が脆い。中でも『バレンタインデー』の脚本には心底驚いた。無個性の登場人物を交錯させるだけで大喜びしている作り手の顔が見えてくるのだ。そこに映画の芸と呼べるものは一切ない。

 3Dの病も続いている。目が疲れるばかりで、一向にその魅力が分からない3D。『アリス・イン・ワンダーランド』も『トロン:レガシー』も3Dにしたから、だから何なのかと言いたくなるレヴェル止まり。ただし、3Dはアニメーションの分野においては飛躍を見せている。『トイ・ストーリー3』や『ヒックとドラゴン』の美しい映像は3Dでさらに輝く。どうせ作るのであれば、実写映画も早くこのレヴェルに到達して欲しい。






まとめ

 名古屋圏ではあまり感じないことなのだけど、どうやら近年はシネコンの勢いに押されて、ミニシアターの経営が厳しいとのこと。東京の方では続々とミニシアターが閉館に追い込まれていて、その手のニュースを聞く度に、胸が痛くなる。シネコンは設備が整っているので、映画を観る環境としてはベストなのかもしれないけれど、どこか味気なさを感じるときがある(もちろんシネコンが悪いわけでは全然ない)。大きくはなくても人の温もりが感じられる空間は、貴重なのだろう。まだ踏ん張っているミニシアター、ぜひとも応援したい。

 最後に、2010年、楽しませてくれた映画にありがとう。





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