15時17分、パリ行き

15時17分、パリ行き “The 15:17 to Paris”

監督:クリント・イーストウッド

出演:アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーン、
   ジェナ・フィッシャー、ジュディ・グリア、レイ・コラサーニ、
   P・J・バーン、トニー・ヘイル、トーマス・レノン、
   ポール・ミケル・ウィリアムス、ブライス・ガイザー、ウィリアム・ジェニングス

評価:★★




 2015年に起こった「タリス銃乱射事件」がそれほど記憶に残っていないのは、もしかしたら誰一人死ぬことなく終わったテロ「未遂」事件だからかもしれない。けれど、そうなったのは確かに勇敢な人々がいたからで、クリント・イーストウッドはそれを画として残す。それも画期的な方法で。

 『15時17分、パリ行き』はテロを防いだ三人の若者の物語。演じるのはアンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーンと聞き覚えのない名前ばかり。それもそのはず、彼らこそ事件を食い止めた英雄、本人が本人を演じるのだ。リアリティへのこだわりがイーストウッドをそう決断させたことは、想像に難くない。

 ただし、三人組の演技は堅い。緩急もない。仕方がないものの、プロの俳優も出てくるので、違和感を感じ続けることになるのは気になるところ。再現VTRの気配もはっきり漂っている。高級な再現ドラマだけれど…。

 イーストウッドは三人の過去を描く。問題児だった少年たちが校長室で出会い、アッという間に仲良くなり、別れ、しかし絆は決して途切れることなく続く。いよいよ列車に乗り込むまでのエピソードもたっぷり映し出される。ようやく列車が走り始めるのは、話が始まって1時間経ってからだ。イライラは募る。観光地巡りをしたり、ナンパしたり、アイスクリームを食ったり…さすがにその画、要る?

 いや、要るというのがイーストウッドの判断ということは分かるのだ。英雄となる三人組はしかし、決して輝かしい人生を歩んできたわけではない。文句のつけようのない志を掲げていたわけでもない。むしろ若者らしい軽いところをたっぷり具えている。けれど、その彼らがテロを防いだ。恐怖に打ち克ち、多くの人々を救った。目の前にある悪意を食い止める、それだけに反応した。その事実の重要性を語り掛ける。だからと言って取り立てて中身のない素人演技を長々見せられるのは…それは観客が我慢しなければならないことなのか。

 拍子抜けするのは、三人が瞬く間に犯人を取り押さえること。現実はそんなものか。負傷した客の応急処置描写の方が長いくらい。まあ、それもまた大変英雄的な行為であるわけだけれど…。

 人は大きな目的を持って人生に導かれている…という意味深なセリフがある。イーストウッドは三人の大まかな人生や旅行を綴り、その気配を捉えようとした。トラブルメーカー扱いされてきた少年たちが誰かの役に立つことを願い、事実、そうなる瞬間を見せることで…。狙いは分かるものの、イーストウッドにしては彼方此方どんどん飛ぶエピソードをまとめられていない。焦点が少しずつずれ、それを修正できなかった感あり、だ。





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