The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ “The Beguiled”

監督:ソフィア・コッポラ

出演:コリン・ファレル、ニコール・キッドマン、キルスティン・ダンスト、
   エル・ファニング、ウーナ・ローレンス、アンガーリー・ライス、
   アディソン・リーケ、エマ・ハワード

評価:★★★




 ソフィア・コッポラは自身を投影させた役柄を描くときより、既存の物語を自身の色に染め上げるときの方が断然面白い。「ガーリー」という言葉の枠に留まらないイメージの飛躍が見られるのだ。「女」という「性」からはどうしても逃れられない人だから、ある程度材料の段階で解き放たれていた方が個性に意外な色が出る。

 南北戦争時代の南部の森深くにある女だけからなる寄宿学園を舞台にした『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』で言うなら、邸の玄関に並ぶ女たちを柵越しに捉えるイメージ。或いはランプの明かりに頼る夕食テーブルについた女たちの中に男が入り込むイメージ。女として生きる者たちの抑圧された人生がちらつき、しかもそれが別のイメージに広がっていく。

 「白い肌の異常な夜」(71年)のリメイクではなく、トーマス・カリナンの小説の再映画化と言った方が良いのだろう。視点を女の側からに絞ったのがいかにもコッポラ的で、様々な立ち位置にいる女たちの輪郭がより鮮明になっった感。学園長、右腕となる教師、年上の生徒の三人を中心に、それぞれが自分の領域を守りながら、男との距離を測るのが面白い。

 戦争の負傷兵が学園に入り込むことで、それぞれが抱えていた欲望が剥き出しになっていくところ。いちばん固そうな教師があっさり男に落とされるあたりは案外平凡な見方だし、互いが胸の奥で嫉妬の炎を燃やすあたりも新鮮味はない。ただ、それでも結局、彼女たちは女としての連帯感で結ばれていることがそこに陰影を創り出す。その分、男の描写は淡泊になってしまったものの、それは致し方なし、か。

 役者は皆、適材適所だ。十年前ならキルスティン・ダンストが演じそうな役柄をエル・ファニングが演じていて、眼差しひとつで全てを悟らせて絶好調。ダンストも三十路を越えて処女のような硬さが、妙にリアルだ。キッドマンのビシッと伸びた背筋は学園の背骨のようだ。登場人物が一堂に会する食事場面の緊張感は、彼女たちの腕の見せ所。

 ダンストが負傷兵の部屋から出てきた生徒に、自分のイヤリングをしていることを注意する場面がある。すると生徒は返す。「先生だって、そのブローチ、クリスマス以来じゃないの」。この感覚をコッポラは磨く。駆け引きというものにもやり方があり、自分から仕掛けたようで実は仕掛けられていることもある。そのバランスが面白い映画だ。





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