偽りの忠誠 ナチスが愛した女

偽りの忠誠 ナチスが愛した女 “The Exception”

監督:デヴィッド・ルヴォー

出演:リリー・ジェームズ、ジェイ・コートニー、クリストファー・プラマー、
   ベン・ダニエルズ、エディ・マーサン、アントン・レッサー、
   マーク・デクスター、マーティン・サヴェッジ、ジャネット・マクティア

評価:★★★




 ナチスが絡んだ戦争映画というと、どうしてもアドルフ・ヒトラー周辺中心になるけれど、『偽りの忠誠 ナチスが愛した女』はドイツ最後の皇帝として知られるヴィルヘルム2世の亡命先、オランダの美しい邸宅が舞台なのが珍しい。ただし、史実に忠実な重厚ストーリーではない。これはメロドラマとして観るのが正解だ。

 邸宅にはヴィルヘルム2世がいる。妻ヘルミーネがいる。ヴィルヘルムを監視するナチス青年がいる。正体は英国スパイであるユダヤ人メイドがいる。他にも人物は出てくるものの、この4人の心理が複雑に絡まる様に重きを置く。とりわけ青年とメイドのラヴストーリーの側面が強い。もし舞台劇になったとしても、なんら驚かない。

 だから物語はすぐには動かない。互いに向ける4人の眼差し、その方向と距離が異なる様を丁寧に描くことで、緊張感を創り出す。それは戦争ドラマというより、心理スリラーの趣が強い。ナチスとユダヤ人という敵対する関係にある男女が肉体を交わらせたと言っても、その裏には何か別の思惑があるのではないか。田舎で穏やかに暮らす元皇帝は、人知れぬ野望を抱えているのではないか。こんな疑問はほんの一例で、4人が絶妙のバランス感覚を持って邸宅を動く様が上手に処理される。

 物語が一気に動くのは、邸宅にゲシュタポを統率したハインリヒ・ヒムラーがやってきてからだ。邸宅へのスパイ潜入はいよいよ濃厚になり、それまでのような平穏な時間の流れは期待できない。それぞれが一発勝負に賭ける。己の今の立場に憤りを隠せないヴィルヘルム2世。彼以上に復権を願うヘルミーネ。愛する女の正体に気づき国と愛の狭間に揺れる青年。青年を愛しながら任務の遂行に賭けるメイド。

 そう、物語が動くと言っても歴史が動くわけではない。前半に撒かれた人間関係の種が一気に芽を出し、茎を伸ばし、葉をつけ、花を咲かせ、そして種を残して散っていく。つまりメロドラマが一気に盛り上がる。女が銃を構える相手は誰なのか。一定の緊張がキープされるあたり、定型通りと承知しつつ、グッと見入る。

 メロドラマだから配役が重要だ。スパイを演じるリリー・ジェームズは相変わらず可憐で、ヴィルヘルム2世役のクリストファー・プラマーの重厚さと茶目っ気は期待通り。ヘルミーネに扮したジャネット・マクティアもその野心が面白い。問題はナチス青年役のジェイ・コートニー。顔の余白がやたら多いのは、顔面積が特大だからか、とにかく大味なのが問題だ。青年が見せるハートは物語の魂なのに、それよりもヴィルヘルム2世の人間性の方が胸に残る。コートニーはプラマーにあっさり喰われ過ぎだ。





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