ロープ 戦場の生命線

ロープ 戦場の生命線 “A Perfect Day”

監督:フェルナンド・レオン・デ・アラノア

出演:ベニチオ・デル・トロ、ティム・ロビンス、オルガ・キュリレンコ、
   メラニー・ティエリー、フェジャ・ストゥカン、セルジ・ロペス

評価:★★★




 1995年、停戦直後のバルカン半島のどこかを舞台にしたこの物語の主人公グループは、「国境なき水と衛生管理団」なる組織に所属する。この手の団体が出てくる映画は警戒した方が良い。過酷な状況に果敢に立ち向かう彼らを聖人のように崇め奉る傾向にあるからだ。『ロープ 戦場の生命線』はまず、それをクリアする。

 彼らの人間味に注目はしても、その言動や心模様を過剰に美化することには興味がないようで、彼らの俗っぽい部分(もちろん人間なら誰も持っている側面)に寄り道しては笑い飛ばす。まあ、当然か。ベニチオ・デル・トロやティム・ロビンスを聖人として登場させようなんて、誰も思わない。

 とある井戸に故意に死体が投げ込まれる。どんどん腐敗する死体を引き上げなければ、生活水が確保できない。そこで「水と衛生管理団」の出番、というわけだ。ただ、この紛争地域では死体を引き上げるためのロープ一本すら手に入れるのが難しく、一団はそのため地雷が仕掛けられた彼方此方を奔走。その過程を眺めていると、紛争や一団の現実が見えてくる仕掛けだ。

 このやり口は別段優れているわけではないものの、作り手と一団の距離が適切なので、呑気にすっきり見られるのが良い。もちろん日常の傍らに潜む狂気は忘れられないし、ギョッとする画もある。死が強烈に意識されるエピソードもある。それでも一団の人間臭さ(多くはユーモアと密着)は、意表を突く音楽の数々と共に、それらを何とか突破する。たとえ報われないことが山ほどあっても…。

 人間が整理され過ぎている嫌いはある。デル・トロは中心人物として取り乱すことなく物語を冷静に見つめる。ロビンスはそんな彼を悪態と一緒に支える。メラニー・ティエリーは新米らしく驚きの表情を連発し、オルガ・キュリレンコは普段「現場」から離れたところいる者の温度差を体現。その他、通訳や行きずりの少年も実にはっきりした役回り。破綻はないものの、それゆえ小さくまとめた印象は拭えない。

 意外過ぎるのは、この内容でスター映画的側面があることだ。デル・トロとロビンス、どちらも初老に入りながらスター特有のオーラでキラキラ。とりわけデル・トロは、思い切りでっぷりした身体つきながら相変わらずのセクシーさ。デル・トロとロビンスが同じ画面に入ったときの華やかさには胸躍る。ふたりとも草臥れ方が格好良いのだ。日本の俳優でも佐藤浩市や堤真一らが疲れた肉体を実に魅力的に見せるけれど、欧米のホンモノは、より野性味が感じられるのが面白い。





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