ローズの秘密の頁

ローズの秘密の頁 “The Secret Scripture”

監督:ジム・シェリダン

出演:ルーニー・マーラ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ジャック・レイナー、
   テオ・ジェームズ、エリック・バナ、スーザン・リンチ、エイダン・ターナー

評価:★★




 世の中には幸せが似合わない俳優がいて、ルーニー・マーラは間違いなくそのひとりだろう。青い空をバックに満面の笑みを浮かべるマーラなど、全く持って想像できない。コメディが似合わないことにも通じるのだけど、そういう個性にも需要はあって、悲劇的なメロドラマなら、さあ、彼女の出番だ。

 『ローズの秘密の頁』のマーラは男たちが放っておけない魅力を持った女の役で、陰気的水分をたっぷり含んだマーラ向きの役かというと違和感はある。ただ、何も悪いことはしていないのに次々不幸に見舞われる様は、さすがに似合っている。束の間の幸せ場面があっても、すぐ傍らに不幸の影が忍び寄る。不幸でこそ魅力的と言い換えても良い(それが最高に活かされたのが「キャロル」(16年)だ)。

 …とまあ、マーラの不幸っぷりを眺めている分には申し分ないのだけれど、冷静に物語を観ても観なくても、これはかなり無茶苦茶な話だ。女として男たちを惹きつけてしまうばかりに多くから愛され、それゆえ本気で愛した男を不幸に巻き込み、果ては赤ん坊の運命まで変え、自分はというと50年も精神病院行きだ。永遠(とわ)の愛なんて簡単な言葉では片づけられない冗談人生。

 冗談人生に乗ってやろうという気になれない最大の理由は、マーラとジャック・レイナーが魅せる愛に説得力がないという身も蓋もない事実だったりする。大したきっかけもなく惹かれ合うふたりは、戦争や嫉妬、偏見を触媒に愛を盛り上げるものの、何故そこまで、いつの間にそんなにも愛し合っているのかという疑問には決して答えない。美男美女というだけでは何故の嵐。レイナーはもう少しでデブになる寸前の肉体で、マーラより愛嬌があって良いけど。

 そして、もうひとつの致命的な問題は、話の構成にある。マーラが老いた後をヴァネッサ・レッドグレーヴが演じる。彼女が昔話を始める「タイタニック」(97年)式が採られていて、聞き手であるエリック・バナ医師を巻き込んだある事実が浮上。これがご都合主義と言うか、いよいよバカ全開と言うか、とにかく感動しているのは当人たちだけ。もちろん見る側は置いてけぼりだ。

 マーラを取り巻く美術・衣装だけは楽しい。マーラ、質素を極めているように見えながら、よくよく観察すると、彼女を囲む雑貨や衣装はなかなか可愛らしく(大人が耐え得る可愛さ)、知らず知らずのうちに目の保養になっているのだ。レイナーが空から落ちてきたときのワイン色のコートなど技ありだし、掘っ立て小屋の壁紙やパジャマに飛ばされた花もキュート。不幸顔のマーラも意外にそれらと良い相性を見せている。





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