アバウト・レイ 16歳の決断

アバウト・レイ 16歳の決断 “3 Generations”

監督:ギャビー・デラル

出演:エラ・ファニング、ナオミ・ワッツ、スーザン・サランドン、
   テイト・ドノヴァン、リンダ・エモンド、サム・トラメル

評価:★★




 世の中には(自分も含め)トランスジェンダー、或いは性同一性障害等について詳しく、かつ理解あるふりをしている輩が多いけれど、結局のところ「ホンモノ」は極僅かという気がする。例えば『アバウト・レイ 16歳の決断』の主人公レイ(元ラモーナ)は性転換熱望者。彼女の、いや彼の恋愛対象は女で、それならば女として女を愛するのでは駄目なのかと祖母は言う。けれど、レイは男として女を愛することに拘る。その思考を安易に理解できると言うのは、酷く無責任なのではないか。

 作り手は、だからだろうか、そちらにはとりあえず、踏み込まない。レイはもはや自分に迷いを抱いていない状態で登場する。女であることは苦痛でしかなく、性転換しか選択肢はない。葛藤の気配は薄く、よって代わりに母親が悩む。娘が息子になる。それをハイ分かりましたと受け入れられる親は、差別云々、理解云々を抜きにして、あまりいないだろう。レイの悩みは生物学的に男になれるかどうか、これに尽きる。

 母の悩みはシンプルで、けれど同時に難しい。娘を誰よりも愛しているからこその、苦悩。ナオミ・ワッツが大変的確な演技で魅せる。ただし、作り手はそれだけでは物足りなかったらしい。それを補うべく、家族をわざとらしく装飾するのだ。

 それを人は作為と呼ぶ。祖母がレズビアンとして登場して笑いを振り撒き(スーザン・サランドンは安定の好演)、母と父の過去の確執にも捻りを加えている。全く持って余計という他なく、突っ込めば突っ込むほど、白々しくなる事態。理解が、自分たちを良く見せたい方向に、変態する。

 物語が薄いドラマに終始する一方、レイは見ものであり続ける。エル・ファニングが相変わらず魅力的なのだ。男の子になりたいレイが、男らしい振る舞いを続けるほど、ファニングの少女性が(嫌味でも、悪い意味でもなく)輝き、あぁ、この俳優は性別に関係なく内面から輝いていると思わされる。少年風にアレンジされた風貌が、今よりもっと若いときの菅田将暉っぽいのも面白い。

 また、時折素のファニングが覗くのも、まだ男ではない中途半端なレイの表現として、ユニークなアクセントになっている。特に喜びを弾けさせる場面になると、女の部分が前面に出る。意識的なのか無意識の結果なのかは分からないものの、人は笑っているのがいちばんだと思わずにはいられない。





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