ロング,ロングバケーション

ロング,ロングバケーション “The Leisure Seeker”

監督:パオロ・ヴィルズィ

出演:ヘレン・ミレン、ドナルド・サザーランド、クリスチャン・マッケイ、
   ジャネル・モロニー、ダナ・アイヴィ、ディック・グレゴリー、
   カースティ・ミッチェル、ロバート・プラルゴ

評価:★★




 夫は認知症が酷くなり、時々しか昔に戻れない。妻は一見元気だが、実は末期の全身ガン、いつ倒れてもおかしくない状況。そんなふたりが巨大なキャンピングカーに乗ってボストンからアーネスト・ヘミングウェイの生家があるフロリダを目指す。ふたりに残された僅かな時間が、何物にも変え難い宝石になる…。

 …という安い紹介がぴったりの映画、それが『ロング,ロングバケーション』だ。ドナルド・サザーランドとヘレン・ミレン、ふたりの名優が主演しているからつい騙されそうになるものの、それ以上でもそれ以下でもない場面が並べられる。老人ふたりがキャンピングカーと共に小旅行。微笑ましい外観でも、ちょっと中身を覗けば、老いや病を理由にドラマとユーモアを狙った計算高さがそこかしこに…。

 とにかく気になるのが、老優ふたりのへの敬意のなさだ。とりわけサザーランドの扱いが悪い。多くを忘れてしまったことから、周りを哀しませたり笑わせたり…というワンパターンだけで最初から最後まで引っ張るのだから。認知症そのものへの向き合い方の軽さがそのまま、大雑把な人との向き合い方に通じている感。

 ミレンの方はまだ救われる。いつものシャキシャキとした態度と物言いで、厳しい現実に立ち向かう。自分の身体の心配はほとんどしていない。ただ、愛する人と一緒にいたい、それだけのために動く女の気持ち良さを何とか引き出している。ただ、俯瞰で見れば、サザーランドのお守り的ポジションからは抜け出せていない。

 そう、おそらく作り手がユーモラスに眺めている小旅行が、ほとんど認知症の介護ガイドに見えてくるのだ。妻はおそらく、認知症の夫と長い間、向き合ってきたのだろう。だから、ショックな反応があっても必要以上には怒らないし落ち込まない。自身のガス抜きも手慣れたもの。あぁ、この人を見習わなければならない、この人のように大切な人と向き合えば良かったと感じ入る人は多いだろう。ちなみに…関係ないけれど、ミレンは物語の大半で、ブルネットのウィッグとメガネを装着している。「トッツィー」(82年)のときのダスティン・ホフマン風。

 結末は最初から賛否両論を狙った感あり。介護ガイド以上のものはないとは言え、それなりに軽やかに進められていた物語に社会派の匂いが立ち込める。おそらく作り手は観る側に、この選択をどう思うか、尋ねたいのだろう。けれど、本当にそれが望まれたものかどうか。旅の終着点にもやもやを残すのは、この映画に限って言えば、絶対に違うと思うのだ。





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