チェイサー

チェイサー “Kidnap”

監督:ルイス・プリエト

出演:ハル・ベリー、セイジ・コレア、クリス・マクギン、
   リュー・テンプル、ジェイソン・ウィンストン・ジョージ、
   クリストファー・ベリー、アーロン・シヴァー、
   カーティス・ベッドフォード、カーメラ・ライリー

評価:★★




 ファーストシーンだけで、あまり運動神経の良い映画でないことは分かる。安食堂でウエイトレスとして働くヒロインが、人手不足もあり、客に満足なサーヴィスができない。横柄な客もいてイライラを誘う。たいした情報の落とされない場面に長々時間をかけるあたり、作り手の時間に対する感覚がズレている証拠ではないか。

 果たして『チェイサー』は惜しい出来映えだ。目の前で息子を誘拐された母親の必死の追跡劇。いかにもB級な題材をB級のまま提示しようとする点こそ潔いものの、それなら代わりに必要になる創意工夫は持ち合わせていなかったらしい。「96時間」(08年)女性版のような設定、「セルラー」(04年)との血縁関係を思わせる状況に、オリジナリティを加えられなかった。

 犯人とヒロインの車による追いかけっこ。3分の2はこれに充てられる。最初こそ緊迫感と一緒に眺めていたものの、飽きるのは早い。何故なら同じ画が連続するからだ。ヒロインの顔のアップと二台の車の疾走、これが交互に映し出されるのみ。この際、ヒロインが心象を独り言として具体的に喋り過ぎるのもバカバカしいと言える。

 退屈を断絶するチャンスはいくらでもあったのだ。犯人のひとりを乗せることになる場面は新しい展開を予感させるし、一度車を見失う場面は違う追跡劇が始まりそうだ。ところが、いずれも物の数分で同じ画に戻る。ヒロイン側の車がガス欠になったところで、ようやく車から解放され、別の追跡が始まる。

 それでも何とか物語のスピード感だけは維持している。ひとつは息つく間を与えない畳み掛け方になっているため。そしてもうひとつはハル・ベリーの熱演のおかげだ。ベリーはそれはそれは美しい容姿の持ち主だけれど、(映画の中では)綺麗に撮られたいという欲望はあまりないらしく、息子の奪還のためになりふり構わず突っ走る際の切迫感ある形相やらクールさとは無縁のアクション(スタイルはそれほど良くないことが分かる)など、なかなかの思い切りだ。そう来なくては。

 すると、観る側の心に変化が生まれる。芸はない映画だけれど、この必死なヒロインの行く末を最後まで見守ってやろうじゃないか。斯くして、残り3分の1、社会派の匂いを漂わせる物語の頓珍漢ぶりに目を瞑り、警察の無能や周囲の人々の非協力的態度を見なかったことにすれば、ヒロインの一か八かの賭けに多少の快感が浮上する。もちろん子どもたちも少しぐらいサスペンス作りに貢献するべきだなんて、言いっこなしだ。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ