ハリウッド・スキャンダル

ハリウッド・スキャンダル “Rules Don't Apply”

監督・出演:ウォーレン・ベイティ

出演:リリー・コリンズ、オールデン・エアエンライク、アネット・ベニング、
   マシュー・ブロデリック、アレック・ボールドウィン、ヘイリー・ベネット、
   キャンディス・バーゲン、ダブニー・コールマン、スティーヴ・クーガン、
   エド・ハリス、メーガン・ヒルティ、オリヴァー・プラット、
   マーティン・シーン、ポール・ソルヴィーノ

評価:★★




 ハワード・ヒューズが登場するものの、彼は主人公ではない。『ハリウッド・スキャンダル』はヒューズが持つ映画会社の新人専属女優と彼の運転手を務める若者の恋を描くロマンティック・コメディだ。舞台は1950年代後半から60年代前半にかけて。当時のロマコメの匂いを大いに意識する。なるほど、最近愉快なロマコメが少ない。期待したくなる。

 ロマコメで重要なのはキャスティングだ。とりわけヒロイン役が重要で、そうして抜擢されたリリー・コリンズがなかなか魅力的。女優としての成功を夢見る姿、思いがけず運転手に恋してしまう姿には、まだ汚れを知らない少女性があり、ころころ変わる表情は小動物のような愛らしさに通じている。ヒナギクに例えられたり、真っ赤な口紅を引いても下品にならなかったり、生地の良さが活かされた感。

 対する青年の方も負けてはいない。ヴィンス・ヴォーンをきりっと締めた風貌のオールデン・エアエンライクが、素朴さと誠実さを嘘臭く見せない佇まいで、溌剌と跳ねるコリンズを頼もしく受けとめる。ピアノを弾きながら歌うコリンズと良い関係になる場面など、楽曲「Rules Don't Apply」の雰囲気もよろしく、なかなか楽しい。

 恋には障害がつきもので、大抵の場合は好敵手が現れるものだけれど、ここではそれがヒューズだから大物過ぎる。運転手が女優に手を出してはいけないというルールが存在するところから始まったのが、当時精神不安定だったらしいヒューズが前面に出ることで、ただでさえ危ういふたりの関係が大いに揺れることになる。何しろヒューズだから、一言二言言葉を発したり、一歩二歩歩いただけで、若い関係は激しく動揺するのだ。可笑しい。

 問題はこのヒューズを監督でもあるウォーレン・ベイティが演じてしまったことだ。いや、別にベイティがヒューズ役に似つかわしくないと言っているのではない。それは重要ではないからだ。ただ、映画出演は14年ぶり、映画監督は18年ぶりだったベイティは、若い男女の恋に、慎ましくちょっかいをかけることができなかった。いつしか自分が中心にいないと我慢できなくなってしまった。

 後半になると如実になるのだけど、若い男女の存在感はどんどん薄くなっていき、精神不安定で会社の経営も窮地に陥るヒューズの苦悩ばかりが前に出てくるのだ。それはもう男女の恋の障害などと呼べるレヴェルにはなく、ヒューズの伝記映画風の気配すら感じさせる。ベイティのスターとしてのエゴ、恐るべし。いや、それは推測でしかないけれど、ただ、ロマコメが実話ドラマに化けてしまったのは確かだ。ヒューズの登場場面をもっと厳選すれば、気まぐれなヒューズに振り回される男女のドタバタを描いた充実のロマコメになったのに…。





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