ベロニカとの記憶

ベロニカとの記憶 “The Sense of an Ending”

監督:リテーシュ・バトラ

出演:ジム・ブロードベント、シャーロット・ランプリング、
   ハリエット・ウォルター、ミシェル・ドッカリー、
   エミリー・モーティマー、ビリー・ハウル、
   ジョー・アルウィン、フレイア・メイヴァー、
   エドワード・ホルクロフト、マシュー・グード

評価:★★




 原作はブッカー賞に輝くジュリアン・バーンズの小説とのことで、それを聞くと困惑するしかない。『ベロニカとの記憶』はどの角度から切り取っても、野暮な映画だと思うからだ。一体どの程度の脚色がなされているかは知る由もないけれど、別段しみじみと感じるところがないことは確かだ。

 野暮に見える最大の理由は、過去パートが全く魅力的に見えない点だ。初恋の人とその家族、そして高校時代に途中から転校してきた親友が、重要人物として迎え入れられる。キャストのパンチ不足も大きいものの、主人公の曖昧な回想ゆえのミスリードに足を引っ張られている感。どのエピソードも漏れることなく中途半端に切り上げられる。

 これは初恋の人の母親から遺言ととある日記が遺されことをきっかけとして、ノスタルジーに浸りながら記憶を辿る構成になっているためだ。美しく輝いた青春時代。そこに秘められた真実に意外性を持たせるための手法として、理解できなくはない。ただ、尻切れとんぼの話の羅列は、観る側に多大な忍耐を要求する。

 終幕になると真実の残酷性が前面に浮上、人がいかに記憶をいい加減に自分に都合良く処理するか、考察される。良い人にしか見えなかった主人公に違う表情が覗き始めるところは、演じるジム・ブロードベントの力もあって見入るものの(そう、これは絶対に狙った配役だ)、その異常性(とりわけストーキングの数々)を考えると、やけに美しく撮られた話に異議を唱えたくなる。

 …となると、過去の真実を知ることが主人公の今に少なからず影響を与えるという展開が説得力を持たない。離婚して孤独な日々。一人娘は出産間近。そして…。妙に達観したラストの主人公の態度が、ワケワカラン。

 いちばんの見ものは、数シーンに登場するのみのシャーロット・ランプリングだ。ピンと伸びた背筋も、年相応な服の着こなしも、切り口シャープなセリフ回しも…あぁ、何と格好良い。大人のランプリングは主人公を執拗に責めるようなことはしないけれど、どうせならブロードベントをこてんぱんにとっちめてくれても良かった。ランプリングなら、それがいかに野暮なことだったとしても、誰も文句は言うまい。偽りの知性に蹴りを入れられる人なのだ。





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