ブリムストーン

ブリムストーン “Brimstone”

監督:マルティン・コールホーヴェン

出演:ガイ・ピアース、ダコタ・ファニング、エミリア・ジョーンズ、
   カリス・ファン・ハウテン、キット・ハリントン

評価:★★




 幾度となく燃える炎のイメージが出てくる。その度に思う。何が燃えているのかと。逃れられない罪か、忘れたい過去か、永遠につきまとう憎悪か。『ブリムストーン』は抗えない運命に苦しみ、しかしそれに立ち向かうことをやめなかった女の物語。ズバリ、長い。150分弱もある。

 長くなったのは四つに分けられた物語のそれぞれの章が、じっくり描かれるから。一章から三章は時代を遡り、ヒロインの人生を残酷に炙り出す。そして最終章で再び時間を戻し、その決着を見守る。ショッキングな真相が明らかになるのは二章、三章だけれど、より胸に残るのは一章と四章だ。ダコタ・ファニングがなかなか魅せるのだ。

 わけあって喋ることのできないヒロインの激情をあの大きな目ひとつで、迫力と情念を持って描き出す。この際、バックに余計な音楽がほとんど流れないのが良い。代わりにヒロインの息遣いを捉え、目の前で燃え盛る炎以上に、ファニングの身体の中で立ち上がる炎を焼きつける。寒々しい山の中の空気が効いてくる。

 ヒロインを追い詰める謎の牧師はガイ・ピアースだ。神に仕える者であるはずの牧師の狂気は、ほとんど怪物的なそれであり、その暴走はなかなかその過去が見えないこともあり、衝撃がどんどん膨らんでいく。ピアースの怪物性とファニングの強さの衝突。そこにいちばんの面白味がある。

 ただ、あぁ、またしてもか、ピアースの怪物性の根底には信仰と呼ばれるものが敷かれていて、それが毛穴に沁み込むくらいに密着した生活にいないと、本来の不条理な怖さを体感できていないのではないかという気はする。凄惨な暴力も理不尽な追及も、信仰と密になってこそのそれなのではないか。

 ヒロインの少女時代、キット・ハリントン扮する若者との関係、或いはカリス・ファン・ハウテン扮する母親との関係は、それだけで一本の映画にできそうな密度であるはずなのに、小さくまとまって見えるのは惜しい。歳の離れた男女の関係、或いは普通とは違う母娘の関係…などと説明できない本能的な部分で通じる何かを掬い上げる必要があったのではないか。ヒロインの人格形成を成す重要なところだと思うのだけれど…。





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