ミッション・ワイルド

ミッション・ワイルド “The Homesman”

監督・出演:トミー・リー・ジョーンズ

出演:ヒラリー・スワンク、グレイス・ガマー、ミランダ・オットー、
   ソニア・リヒター、ジョー・ハーヴェイ・アレン、バリー・コービン、
   ダーヴィッド・デンシック、ウィリアム・フィシュナー、
   エヴァン・ジョーンズ、キャロライン・ラガーフェルト、ジョン・リスゴー、
   ティム・ブレイク・ネルソン、ジェシー・プレモンス、
   ジェームズ・スペイダー、ヘイリー・スタインフェルド、メリル・ストリープ

評価:★★★




 「ロンサム・ダブ」(89年)を思い出すのは、トミー・リー・ジョーンズが監督・主演しているからだ。なるほどジョーンズは西部劇の世界が本当に良く似合う。いつも不機嫌な表情は詩的に映り、決して良くないスタイルは大地と良く共鳴する。これならば彼を主演にした西部劇がもっと作られても良さそうだ。

 けれどジョーンズは、格好良い自分を撮りたいわけではない。『ミッション・ワイルド』は心を病んだ女性たちをネブラスカからアイオワまで送り届けることになった独身女と、同行する小悪党の旅を綴る。旅は当然のように過酷を極める。先住民族や盗賊の襲来。ナイフや銃の他、石や紐が物を言う戦い。凍える冬の寒さ。仲間との諍い。食糧難。西部開拓時代は厳しい。

 ジョーンズは目新しい時代描写は狙わない。まずはじっくり、西部劇の醍醐味である映像の美しさを狙い撃ちする。自然光が捉える木々や大地、風の匂い。胸を締めつける朝日や夕日。室内に入れば蝋燭の弱い火が肌にまとわりつくように人を照らし出す。生きること、ただそれだけが困難なとき、光だけは誰しもに平等に降り注ぐ。その美しさ。

 美しいと言えば、ヒラリー・スワンクが体現する女性像もそうだ。傍らにいるのがダメな男たちであることもあって精神を狂わせてしまった同じ女たちを、頼りない馬車ひとつで輸送する旅を買って出る。浮かび上がるのは「高潔」という言葉。強い眼差しが似合うスワンクが、ジョーンズ演じる小悪党と共に障壁を超えていく様に宿る美よ。

 ところが、この女性、強いだけではなく、誰よりも弱い女だということも読めてくる。彼女が必死に抗うのは孤独だ。31歳で独身。己を「年増で地味」と表現。それでも一度は男に愛された心を病む女たちと自分を比べもする。そしてこんなことを言う。「結婚してくれないならひと言欲しい。あなたは善良な女だと…」。あぁ、彼女が旅を引き受けた理由のひとつは、こんなところにもあったのだ。

 この後に起こるあまりにも意外な展開が導く先にあるのは、「生きること」への問い掛けだ。ひとりでも生きられる。けれど、誰かのために生きることもできる。ジョーンズはここに渾身の力を込める。高潔な魂が人から人へと引き継がれ、砂埃に塗れながら荒野を彷徨い、そしてまたどこかへと向かう。西部開拓時代にジョーンズの生への叫びが谺(こだま)する。





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