彼女が目覚めるその日まで

彼女が目覚めるその日まで “Brain on Fire”

監督:ジェラルド・バレット

出演:クロエ・グレース・モレッツ、トーマス・マン、
   リチャード・アーミティッジ、キャリー=アン・モス、
   ジェニー・スレイト、ナヴィド・ネガーバン、タイラー・ペリー

評価:★




 それは何の予兆もなく表れる。頭がぼうっとする。眩暈が止まらない。言葉がすぐに出てこない。幻聴・幻覚が始まる。頭や胃が痛み、手足の感覚がなくなる。言動は支離滅裂になる。素人の頭には安易に「統合失調症」という言葉が浮かぶものの、これは2007年に「抗NMDA受容体脳炎」という病名を与えられたばかりの難病の症状らしい。

 『彼女が目覚めるその日まで』は抗NMDA受容体脳炎がどんな病気なのかを紹介しただけの映画だ。上映時間の九割以上が病気紹介に充てられ、一割にも満たない部分で回復傾向にあるヒロインが映し出される。両親と恋人の忍耐もあり、医者に徹底的に検査させる。立派だけれど、それだけ。ドラマは動かない。

 そう、この映画、動かないのだ。肉体的にも精神的にも。とりわけ心が動かないのがキツい。ヒロインはずっと助かりたいと願うだけ。両親と恋人は助けたいと願うだけ。離婚している両親の間に連帯感が芽生え、父が娘の恋人を認める件以外は、本当に何も動かないし起こらない。病状紹介と検査の繰り返し。動くものを求める映画という芸術にあるまじき事態だ。

 彼女は結局生還する(手記がベースになっている)。どうやって?これが有能な医者を遂に見つけたから…というのがラッキーでありめでたいことなのだけど、やはりここでもドラマは頑なに動きを拒否する。単に医者と患者が出会い、適切な治療が施されただけ…というだけ。心が共鳴する瞬間は僅かほどにもない。

 それでもまあ、抗NMDA受容体脳炎、この病気を世に知らしめるという点では意味があるのだろう。クロエ・グレース・モレッツのような旬の若手女優が主演することで注目度が上がり、世間でこの病に初めて気づく人は増えるだろう。芸術性という要素はないに等しくても、啓蒙的な価値はある。簡単に精神病と決めつけるな、と…。

 モレッツは難病演技を頑張っている。次第に錯乱してく感じは真に迫っているし、確かに俳優としてはこういう派手な役を手掛けたいと思うものなのかもしれない。ただ、より注目したくなるのは、このヒロインがニューヨークポストの記者だという点だ。21歳にして記事を書かせてもらえるとは、相当優秀なはずだ。そう、モレッツにとっては大人の女性を演じるという大切な機会でもあったのだ。そちらが全く目立たないのが勿体ないったらない。





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