否定と肯定

否定と肯定 “Denial”

監督:ミック・ジャクソン

出演:レイチェル・ワイズ、トム・ウィルキンソン、
   ティモシー・スポール、アンドリュー・スコット、ジャック・ロウデン、
   カレン・ピストリアス、アレックス・ジェニングス

評価:★★★




 ユダヤ人歴史学者であるヒロインが、ホロコースト否定論者と対決する。どちらが勝つかは裁判の結果を待つまでもなく明らか…とはならない。ホロコーストが実際にあったのか、という問い掛けの立証だけに留まらないからだ。斯くしてヒロイン、デボラ・E・リップシュタットはアメリカからイギリスへ向かい、長い長い戦いを強いられる。もちろん実話だ。

 ヒロインが戦う相手を否定論者だけにしないところが巧い。ヒロインはホロコーストの生存者を証言台に立たせ、自らも発言を希望する。ところが英国弁護士軍団はそれを良しとしない。戦略と言われればそれまで。ヒロインは何のために勝たなければならないのか、苦悩を深めることになる。

 その過程に浮上する弁護士軍団とのやりとりには「信頼」という言葉にすると臭くなるものが絡みつく。…が、人情ドラマに落ちそうになるところをグッと踏み止まる。演じるレイチェル・ワイズ、トム・ウィルキンソン、そしてアンドリュー・スコットらの節度ある姿勢が大きい。ワイズはいくら髪を明るくしても、どうしてもアメリカ人には見えないけれど…。

 問題は裁判場面で話を展開させるやり口で、このあたりは多くの裁判映画と同じ罠にハマった感。アウシュヴィッツを実際に訪れる前半はともかく、後半になると事務所と裁判所を行ったり来たり…に終始して画面があからさまに単調になる。歴史の再訪が味気なく映る。

 …と思ったところで巻き返すから要注意。一度見たら忘れられない形相で登場するティモシー・スポール演じるホロコースト否定論者は、単純に嘘つきな人物としては描かれない。本当にホロコーストなどなかったと信じる男として法廷をかき回す。裁判終幕、判事が呟く言葉にドキッとする。

 そういう経緯を経て、表現の自由についての考察にまで踏み込む。ヒロインにそれを語らせるのは明らかに野暮であるものの、作り手が真摯に題材に向き合っていることは伝わる。ただ、判事がそういう判決に至った理由についてはもっと丁寧に見せて欲しかった。





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