スイッチ・オフ

スイッチ・オフ “Into the Forest”

監督:パトリシア・ロゼマ

出演:エレン・ペイジ、エヴァン・レイチェル・ウッド、マックス・ミンゲラ、
   カラム・キース・レニー、マイケル・エクランド、ウェンディ・クルーソン

評価:★★★




 エヴァン・レイチェル・ウッドとエレン・ペイジが姉妹に扮するというから、勝手にエキセントリックなそれを想像していたのだけれど、何の何の、いたってフツーの姉妹だ。姉ウッドはダンサー志望。妹ペイジは彼氏持ちの学生。いがみ合うわけでも、ベタベタするわけでもない、どこにでもいそうな姉妹。しかし、『スイッチ・オフ』で彼女たちが経験する出来事はフツーではない。

 ある日突然世界的に電気の供給が止まる。理由は分からない。森深くに暮らす姉妹の家も同様だ。次第に電波も届かなくなり、ガソリンは不足し、食料も底をつきかけ…さあ、姉妹はどうするか。…って、もちろん何とか生きていくわけだけれど、何と言うか、全然苦労しているように見えないのが、なんだかなー。

 ニワトリが産む卵を大切に食べる描写はあっても、いよいよ追い詰められてやせ細る場面はない。電気が通らなくて音楽も明かりもなくても、発電機はあり、いざというときのためのガソリンもしっかり確保。火を起こすのも難なくやってのけ、水も(森に川が流れているから?)困らない。野草探しの場面が理科の課外授業に見えてくるくらいだ。

 そもそも姉妹が綺麗過ぎるのだ。ウッドもペイジも長い期間森の中だけで暮らしている割りに、全然小汚くならない。顔は綺麗にメイクされ(もちろんあからさまではない)、服は清潔を保ち、そんなふたりの山の中の生活は、見ようによれば、ファッション誌のグラビア風ではないか。たまにはこんなシンプルな生活はいかが?…みたいな。

 とは言え、「緑」の力は強力で、樹齢1,000年はあるのではないかと思われる大木や鬱蒼と茂る草木の中に自然光が降り注ぐその画は、何ともまあ、それだけで大変な癒し効果がある。人間は生きているのではない、生かされているのだ…と言いたくなるのような神々しい気配が感じられ(もう少しでテレンス・マリック映画風)、案外それこそが重要なポイントだ。

 森の中での暮らしというのがそもそも文明社会を嫌った匂いがあるのだけれど、話が進むにつれて、姉妹の生き方はどんどんシンプルになっていく。この映画はあるべき人間の姿を愛でようなんていう傲慢さは湛えていない。ただし、信じられるものが限定されていくことで「生きる」ことを噛み締めている。…となると、姉妹がいつまでも美しいままなのは、狙い通りのような気もする。映画全体が「生」のメタファーなのだ。





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