December 29-31 2017, Weekend

◆12月第5週公開映画BUZZ


“Phantom Thread”
 配給:フォーカス・フィーチャーズ
 監督:ポール・トーマス・アンダーソン
 Budget:$35,000,000
 Weekend Box Office:$216,495(4) Great!
 OSCAR PLANET Score:91.6 BIG WAVE!!!
 Oscar Potential:作品賞監督賞脚本賞
           主演男優賞:ダニエル・デイ=ルイス
           主演女優賞:ヴィッキー・クリープス
           助演女優賞:レスリー・マンヴィル
           撮影賞編集賞美術賞衣装デザイン賞
           録音賞、音響効果賞、作曲賞

モリーズ・ゲーム “Molly's Game”
 配給:STXフィルムズ
 監督:アーロン・ソーキン
 Budget:$30,000,000
 Weekend Box Office:$2,349,967(271)
 OSCAR PLANET Score:77.5
 Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚色賞
           主演女優賞:ジェシカ・チャステイン
           助演男優賞:イドリス・エルバ
           助演男優賞:ケヴィン・コスナー
           撮影賞、編集賞、作曲賞

“All the Money in the World”
 配給:トライスター
 監督:リドリー・スコット
 Budget:$50,000,000
 Weekend Box Office:$5,584,684(2074) zzz...
 OSCAR PLANET Score:76.5
 Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚色賞
           主演女優賞:ミシェル・ウィリアムス
           助演男優賞:クリストファー・プラマー
           助演男優賞:マーク・ウォルバーグ
           撮影賞編集賞、美術賞、衣装デザイン賞
           録音賞、音響効果賞、作曲賞

“Film Stars Don't Die in Liverpool”
 配給:ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
 監督:ポール・マクギガン
 Budget:-
 Weekend Box Office:$34,532(4)
 OSCAR PLANET Score:69.5
 Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
           主演男優賞:ジェイミー・ベル
           主演女優賞:アネット・ベニング
           助演女優賞:ヴァネッサ・レッドグレーヴ
           撮影賞、編集賞、美術賞衣装デザイン賞、作曲賞

女は二度決断する “In the Fade”
 配給:マグノリア
 監督:ファティ・アキン
 Budget:-
 Weekend Box Office:$10,455(3) zzz...
 OSCAR PLANET Score:67.5
 Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
           主演女優賞:ダイアン・クルーガー
           外国語映画賞


※OSCAR PLANET Score…各有力媒体の批評を基にOSCAR PLANET独自の計算法により弾き出した評価バロメーター。作品賞、監督賞&脚本賞レース参戦を目指すのであれば、少なくとも70.0以上は欲しく、80.0以上なら堂々たる資格を具えていると考えて良い。ただし、演技賞や技術賞では作品評価が伸びなくても、候補入りする場合が少なくない。

※Oscar Potential…オスカーチャンスのある部門。太字は特にその可能性が高い。


【総括】
 『Phantom Thread』は1950年代ロンドン、ファッションデザイナー、レイノルズ・ウッドコックと彼の若い愛人の関係を描く実話物。この作品が大きな話題を呼んでいるのは、熱烈な支持者のいるポール・トーマス・アンダーソン映画というだけではなく、名優ダニエル・デイ=ルイスの引退作だから。尤も、本当にデイ=ルイスが引退するかしないかは別にしても、彼は寡作ながら毎度高い注目を集めてきたのだが…。さて、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(07年)以来となるアンダーソンとデイ=ルイスのタッグ作品は、批評家から大変好意的に迎えられている。物語の面白さもさることながら、それを色づけする演出の豊かさは、なるほどさすがはアンダーソン。思いがけないユーモアや緊張感あるロマンスがふくよかに織り上げられ、そこに絡むデイ=ルイスは当然のように最高級。デイ=ルイスの相手役となるヴィッキー・クリープスや脇を固めるレスリー・マンヴィルも素晴らしい演技を見せているとのこと。オスカーに絡んでくることも十分考えられるだろう。現時点では衣装デザイン賞候補がおそらく候補確実。主演男優賞も射程圏内だと思われるが、確実ではないか(対象作はSAGでシャットアウト)。その他の部門も急浮上の目があるだろう。興行的には限定公開で好スタート。何とか拡大公開の成功へ繋ぎたい。

 続いて、これまた実話映画となるのが『モリーズ・ゲーム』。劇作家、脚本家として知られるアーロン・ソーキンの監督デビュー作で、怪我をきっかけにトップアスリートから高級ポーカールームの経営者に転身したモリー・ブルームが描かれる。魅力的なストーリーとジェシカ・チャステインによる強力パフォーマンスを中心に高評価を獲得。単純にエピソードを追うだけではなく、人間の内面に深く斬り込んだドラマが展開されるという。チャステインをサポートするイドリス・エルバもお見事。ソーキンの初監督作は成功と見る意見が大勢を占めている。当然賞レース参戦にも期待がかかるのだが、現時点で最も勢いがあるのは、競合が少ない脚色賞。次いでチャステインも主演女優賞の6番手、7番手あたりを走っている。オスカーで逆転候補があるかどうか。興行的には中規模公開でなかなか有望な出足になっている。決して大衆受けする内容ではないはずだが、賞レース展開次第で腰の強い興行になるかもしれない。

 さらに実話物が続く。石油王ジャン・ポール・ゲティの孫ジョン・ポール・ゲティ誘拐事件をベースにしたクライムスリラーとなるのが『All the Money in the World』。16歳のゲティ3世が誘拐され巨額の身代金を要求されるが、祖父は支払いを拒否。母ハリスが息子を救うべく奔走する様を緊迫の中に描き出す。この作品については、秋から映画界を揺るがし続けるセクハラ問題により負のイメージがこびりついたことで知っている人が多いはず。出演者のひとりが80年から続けてきた悪質セクハラの数々が露わになり、一時は公開を危ぶむ声まで出ていたのを、公開直前に代役を立てて再撮影、何とかスケジュール通りの公開に漕ぎ着けた。監督のリドリー・スコット、出演のミシェル・ウィリアムス、マーク・ウォルバーグは気の毒だった。そしてピンチヒッターに立ったクリストファー・プラマーにはアッパレと言う他ない。さて、それと作品評価は別になるわけだが、概ね好評で迎えられている。実話が持つ独特の迫力を見事に捉え、かつそこに蠢く人間たちの欲望の数々を大変リアルに抽出することに成功しているとか。役者も素晴らしく、とりわけ急遽作品に関わることになったプラマーは、準備がほとんどなかったにも拘らず最高の演技を見せている。ただ、絶賛一色の出来映えかと言うと、そこまでの激賞ではない。賞レースに絡むパワーまではないと見る指摘が多くなっている。それでもゴールデン・グローブ賞で3部門で候補に挙がったのは、同賞のスター映画寄りの特徴ゆえか(投票直前にスクリーニングが行われたことも大きい?)。プラマーはオスカーでも可能性がないわけではないと思われるが…。また、残念なことに、再撮影虚しく、Box Officeは低空飛行。娯楽要素も多分に含んでいると思われるが、イメージの回復に貢献できなかった模様。

 そしてこれまた実話物となるのが『Film Stars Don't Die in Liverpool』。往年の大女優グロリア・グレアムと当時若手俳優だったピーター・ターナーの関係を描く。グレアムはリバプールでの活動に拘ったことで知られるが、その謎も明らかにされるという。ベースとなるのはターナーの回顧録になる。批評家の反応は総じて悪くない。単純に実際の出来事を辿るだけではなく、人間同士の魂がぶつかり合う様を魅力的に見せる優れたドラマが織り上げられているらしい。そして、それに貢献するのがジェイミー・ベルとアネット・ベニングのパフォーマンス。とりわけベニングの演技は熱のこもった必見のレヴェルにあるとか。…となれば、賞レース参戦があってもおかしくないのだが、残念ながら前哨戦ではベニングも含め、どの部門も存在感を見せられていない。公開時期が遅く、キャンペーンが十分に行き渡っていない可能性がある。おそらくオスカーでの浮上も難しいのではないか。興行的にも4館という上映館数にしては苦しい数字が報告されている。

 …とここまで来れば、最後も実話物!…とはならず。『女は二度決断する』はカンヌ映画祭でダイアン・クルーガーが女優賞を受賞、オスカー外国語映画賞ドイツ出品作にも選ばれている(ファイナルラウンドにも進出)。ハンブルクで夫(トルコ移民)と可愛い息子と幸せに暮らしていた女がテロで家族を失い、絶望の中、復讐を決意する物語。なかなかにハードな内容が予測されるが、まずは好意的見解優勢で迎えられている。現実世界の焦燥と激しく揺さぶられる倫理観が、ヒロインの抱える圧倒的哀しみと共に浮上。クルーガーの演技も、なるほど素晴らしい。ただ、否定派も決して少なくはない。溢れる暴力描写、その割に不足気味のサスペンス。そして何よりエンディングに関しては否定派が肯定派を上回っている感。賛否両論真っ二つに割れた問題作とするのが正しいかもしれない。果たして、外国語映画賞候補に挙がるかどうか。興行的には一般層に全くアピールしていないのが気にかかるが…。





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