グッド・タイム

グッド・タイム “Good Time”

監督:ジョシュ・サフディ、ベニー・サフディ
出演:ロバート・パティンソン、ベニー・サフディ、
   バディ・デュレス、タリア・レニス・ウェブスター、
   バーカッド・アブディ、ジェニファー・ジェイソン・リー

評価:★★★★




 緻密な犯罪劇を想像すると落胆は免れない。発端となる銀行強盗からして頼りない。ワル顔の兄が計画する強盗は、ゴリラの覆面を被り、ただ窓口の女を脅すだけなのだから。逃げ方にしても、待たせていたタクシーに乗り込むだけ。ダメだこりゃ。

 『グッド・タイム』はしかし、このダメだこりゃなところが魅力だ。知的障害の弟を巻き込んだ犯罪の顛末は突っ込み所満載。弟を計画に加担させるのが無謀だし、車椅子を使った逃走ははったり勝負だし、僅かに声を交わしただけの人の家に押しかけるのは証拠をばら撒くようなものだ。つまりこの兄、かなりのポンコツ、頭の回転がよろしくない。行き当たりばったりなのだ。

 しかし、それを刹那的と言い包めてしまうあたり(褒めている)、演出の手際良さもさることながら、ロバート・パティンソンの役作りによるところが大きい。えっ、あのヴァンパイアなパティンソン?そう、そのパティンソンだ。デヴィッド・クローネンバーグにいくら気に入られようと、どうも素人臭さが抜けなかったパティンソンが、まさかの大変身。時にマシュー・マコノヒー風の匂いを漂わせる大健闘。この夜を駆け抜けるしか生き残る術はないとばかりに、男の焦りを魅力的に見せる。この小悪党を応援したくなるほどに。

 兄の暴走劇はつまり、先が読めないということだ。「頭を使うより身体を動かせ」を念頭に置いたような男。彼の足取りを追ったら思いがけない画が連続。それを収めた記録映画のような趣さえあり、計算が見えない分、愛嬌が浮上している。コメディのリズムも意識されているだろう。

 事態がどんどん悪くなるあたりは、サム・ライミの「シンプル・プラン」(98年)の気配がある。時折コーエン兄弟の「ファーゴ」(96年)的匂いを漂わせることもある。ネオンが妖しく輝く夜の雰囲気はマイケル・マン映画を連想する。それを真似るのではなく、撮りたいものを撮ったらそちらに近づいてしまった。そんな印象が好ましい。

 物語のアクセントはやはり、弟の存在か。冒頭彼は、医師の質問に答えるとき、ある質問で思いがけず涙をこぼす。複雑な家庭で育ったことが仄めかされる。兄の愚かでも真剣な勝負に、赤味が差す。





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